民法#86 留置権①
本気で合格目指すなら❗オススメ資格スクール
ブログ
【復習 担保物権の種類】
法定担保物権
→法律の用件を満たすことで生じる物権
留置権や先取特権
約定担保物権
→当事者の約定により効果が生じる物権
抵当権や質権
留置権
→担保目的物をとどめおくことにより、目的物に関して生じた債権の弁済をうながす趣旨の物権
→法定担保物権としての要件は①占有②物に関する債権があること③弁済期の到来
→物権である留置権には当然対世効があり、その意味では債務者以外にも主張するそとができる。
→物上保証できない。将来債権もありえない。
→物上代位性もない。価値のかえられた保険金請求権や損害賠償請求権は留置できないため。
→留置権には担保物権の基本的性質のうち、優先弁済効力や物上代位性がないことが特徴である。
→留置物を競売にかけることができるが、その代金から優先弁済を受けることはできないが、弁済されるまで目的物をずっと留置できるため、事実上の優先弁済効力があるともいえる。
留置権の発生要件
①占有
→存続要件であり、質権のように、占有を失って
も権利が存続しない。なお、質権にて占有を喪失すると第三者対抗力はなくなる。
→占有を奪われて占有回収の訴えがなされ、正当に占有を回復したならば、留置権は維持される。
②物に関して生じた債権を留置物が担保
→ちなみに賃借権は物を目的とした債権であり、これのために留置権を主張することはできない。
③弁済期の到来
→物に関して生じた債権に停止条件などがある場合は留置権は主張できない。未来に関する債権につき留置権を主張することはできない。
留置権と同時履行の抗弁権
→同時履行の抗弁権は双務契約の当事者に認められるものである。なので、当該契約の当事者でない者には主張できない。
→それと比較して留置権は物権としての対世効があるわけで、誰にでも主張することができる。
→どちらにせよ、それぞれの権利を主張して裁判となった場合は認容された場合、引き換え給付判決が下される。
牽連性と留置権
ケース①
売主は二人の買い主に不動産を二重譲渡した。一人には引き渡したが登記なし、もう一人は引渡しはないが登記あり。
→不動産は登記の先後が第三者対抗要件となるため、買い手の後者が所有権をもつ。そして、前者は損害賠償請求を売り手にすることができる。
→この時、売り手への損害賠償請求権を担保するために登記のある買い手からの引渡し請求につき留置権を主張することができない。
→向かっているベクトルが違い、牽連性がないためである。
ケース②
売り手は所有を偽って他人の物を売却した。真の所有者は買い手に引渡しを請求した。
→この場合も買い手は売り手に損害賠償請求できるが、牽連性がないため、それを担保するために真の所有者からの明渡し請求に対して留置権を主張することはできない。
ケース③
売り手が買い手、買い手が第三取得者に順に不動産を売却していった。
→不動産は売り手のもとにあり、買い手がまだ代金を支払っていない場合、第三取得者からの売り手への引渡しを留置権を売り手は主張できる。この場合はベクトルが対応しており、牽連性があるといえる。
ケース④
譲渡担保権が実行され、目的物が第三者に譲渡された場合
→譲渡担保権の設定者は清算金が支払われるまで目的物を留置することができる。
→譲渡担保とは一時的に担保性を目的物に与え、債務者が弁済すれば消滅し、弁済されず譲渡担保権が実行されると、債権者に所有権が移転する類型の担保権である。その場合、清算金を設定者に返還しなければならない。