続コンプレックス Vol.16
ある時E子さんが
「ねえささぴぃ、一つ聞いていいかな…」
と、とても言いにくそうに聞いてきた。
「なんですか?」
「あのね…朝食なんだけど、ホント簡単でいいんだけど、洋食にしてもらえないかしら?どうも朝から和食は苦手なのよ…」
「な~んだ、そんなことですか!OK分かりました。明日の朝から準備しますよ!何かリクエストありますか?」
「あっ、そういうのは無い!卵とパンとコーヒーがたくさんあれば幸せ!」
「了解しました。ママは?」
「私は和食がいいわ!」
ということで料理長に細かく指示をして次の朝洋食の朝食を
作ってもらった。
E子さんは大層喜んでくれたのであるが、
私は愕然とした。
和食の料理人は、
正式な目玉焼きが焼けないのである。
かといってオムレツが巻けるわけでもない。
ベーコンを半分に切って焼いたりする。
目玉焼きは、家庭で作るような、水を入れて蓋をして、黄身の上に白く膜が出来たようなものだった。
「E子さん、ごめんなさい。明日からボクが作るわ!教えててもイライラするし、その方がきっと美味しいと思うし…」
「えっ、ささぴぃが自ら作ってくれるの!わぁ、楽しみ(^O^)」
それからは、毎回ボクがスパニッシュオムレツやフレンチトースト、ポテトのガレットなどを作った。大好評であった。
「ねえささぴぃ、お部屋にあるソファーってあれ、オリジナルよね?」
「そうですよ!海外で作らせた物です。」
「あれ、注文出来ないかな?ママが新しいマンションに移って、部屋が大きいから、なかなか合うのが無いのよ!あのソファーは大きいし、横になってもあまるくらいだし…」
「時間かかりますけど…あっ、それと結構高いですよ!」
「どのくらい?」
「ちょっと調べてみないと何とも言えませんが100万はするかな?」
「えっ、そんなに安いの!?」
「や、安い!?」
「もっと高いかと思ったのよ…色々調べてみたんだけど、結構高いのよ!
既製品も…」
というわけで、結果的に注文いただいた。
高価な商品を購入いただいたわけで、きちんと納品を確認した方がいいと思った。
丁度、納品されてから日をあけないタイミングで東京で研修の講師を頼まれた予定があり、少し日程をアレンジするだけで済んだ。
ママも「ささぴぃ、楽しみに待っているわ!」
と喜んでいる。
丁度8月で子どもたちも夏休みだった為、私と一緒に東京に行きディズニーランドに行きたい!という話がにわかに持ち上がり
「え~!」と困惑している私を無視して計画は既に揺るぎないものになってしまった。
その話をちらりとしたんだと思う。
「ささぴぃ、せっかくだから、奥さんもお子さんも一緒にいらっしゃいな!私がお昼ご馳走してあげるわよ!」
「いや、そりゃいくらなんでも…」
「いいから、皆でいらっしゃいな!」
ではお言葉に甘えて、そうさせてもらうことにした。