続コンプレックス Vol,24
毎年年賀状は、私が撮影した五岳や夕焼けの写真から厳選して作成した。
また、その中からポストカードにしてショップで販売したものもある。
これが予想以上に売れたので嬉しかった。
旅好きのお客様の中には、旅の記録みたいな物を持ってくる方がいた。
泊まった記念に女将さんや支配人に旅館のことをしたためてもらうわけ
である。
初めてその依頼を受けたとき、少々びびった。
過去の記録を見ると、毛筆の素晴らしい達筆で
なんか素晴らしい詩みたいなことが書いてあるのだ。
よし、感性でいこう!と決めた。
自分で撮った五岳の写真のお気に入りをきれいにプリントアウトして、
貼り付けた。
余白に、毛筆で
悠
ああ、しずか。
広大無辺の理想郷に居る。
湧き出る水よ、阿蘇の生命よ。
腕組みて、そぞろ歩まん。
緑なす枝をくぐりて。
母なる家と綴るのか慈愛と滋養とやすらぎはあたかも母の愛に似て・・・。
油煙をまとい、たゆとう離れの露天木立に埋もれそれぞれに時を忘れ・・・我を忘れる、取り戻す。
湧き出る生命をしみじみと・・・。
と、書いた。
もちろん、こんな素晴らしい詩をボクが考えたわけは無い。
でも、そんなことはいいのだ…
お客様は大層喜び、ボクも嬉しかった。
そして、同じお客様から
「またお願いします。」
と言われた時は、涙が流れた。
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