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休日の楽しみ

休日の夕食は、必ず私が作ることにしている。

たまには女房を休ませてやろう!という気持ちが全く無いわけでは無いが、本音を言えば理由は違う。

休みの日くらい「美味しい料理」が食べたいから、自分で作るのである。
至極簡単な理由である。

しからば、普段ワイフが作ってくれる料理がマズイのか!?と聞かれれば、
まっ、「好み」は人それぞれなので、
言い切ることも出来ないが、
あまり私の口には合わない。
ちなみに子供たちの口にも、あまり合ってないようだ。

そうなると、休みの日の夕食に対する彼等の期待度はとても大きく(彼等の中には何故かワイフも含まれている)、
更に腕によりをかける。

若い頃、もう40年以上前だが、私はホテルのメイン厨房で仕事をしたことがある。

洋食のシェフになることを夢見て、
ホテルに入社し、現実にメイン厨房で働いてみると、料理を作るというより、食品工場で働いているようだった。

蒸気釜を使って、卵を一度に100個単位で茹でたり(蒸気釜はパワ-があるので、あっと言う間に火がとおる黄身がかなり半熟のうちに釜から出さないと、黄身の外側が黒くなってしまうのだ)。

火のとおり具合は、卵を割って調べるしかない。非常に微妙なので、少なくても3回は割って調べる。
その割った卵は捨てることが出来ない。
かといってまだ完成品ではないので、料理には使えない。
ではどうするか!?それを茹でてる人(つまり私)が食べるしかないのだ。

私は茹で卵があまり好きでは無い。しかし、仕方ないので食べていた。気分が悪くなった。

なんとか良い方法はないかと考えに考え、ひらめいた!
ポケットに隠しておいて、洗い場のおばちゃんに内緒であげるのだ!
相手は、目を丸くして喜んだ。もっと喜んだのは、この私だった。

今でも茹で卵はあまり好きじゃない。

大きなずん胴でス-プを作ったりもした。
小麦粉に溶かしたバタ-を交ぜて、それをオ-ブンで焼き、
出来上がった白いル-を牛乳に溶かし込んで、
煮込んでいくとベシャメルソ-スが出来上がる。
これも蒸気釜でやるのだが、気が抜けない!
なにしろ蒸気のパワ-がすごいので、釜の内側をまんべんなく
「しゃもじのお化け」みたいなやつで、体力の続く限り掻き回すのだ!
途中で一服は出来ない!いっぷくしたらあたってしまう(焦げてしまう)。

手首、肘、肩、腰、足の全ての感覚がおかしくなる寸前くらいのところで、
トロ~リ美味しそうなベシャメルソ-スが出来上がる。
出来上がったソ-スは、さらしを使って二人掛かりで、絞るようにしてこして終わり。
もうヘトヘトである。

ミ-トソ-スは、材料が複雑で多い。
玉葱やセロリやひき肉を、大量に炒めたあと、赤ワインの一升瓶をドクドクと入れる。

すると赤ワインのアルコ-ルがジュワ-と蒸気になって、ものすごい香りに体中が包まれる。
一度、二日酔いのときにこれで吐きそうになった。
そう、どの仕事も料理をしている感じではなかった。

勿論、そのさきにはもっと具体的な料理を作る場面も出てくるのであろうが・・・

そして私は、料理を作るのは趣味の方にまわし、本業は接客にしようと、とても大きな決断をした!
その決断を今でも忠実に守っているわけだ。

趣味とはいえ、好きなことには徹底的にのめり込むので、かなりレベルの高い料理を作る。

美味しい料理を作るには、手を抜かず、時間を掛け、香草やワインをふんだんに使うのが私のモット-!

わが家の長男は、アレルギ-で、小麦粉、卵、などが食べられない。

限られた条件の中で、それを感じさせないものを作る、これが楽しい。

最近あみだした料理で「豚バラのクリ-ム煮グラタン」というのがあるが、これが旨い。

豚バラの塊を3センチ角ぐらいに切り、フライパンで焼き色をつける。
玉葱のスライスを炒め、ブイヨンを入れて、そこに肉を入れて、蓋をして弱火で1時間位煮込む。

水分の減り具合を確認し、途中でシメジや椎茸などを加え、生クリ-ムをドバ-と入れて更に煮込む。

十分なトロミがついたら耐熱皿に入れて、チ-ズを掛けて焼く。

これが旨い。
辛口の白ワインがよく合うのだ。
そしてこれならチビも食べられるのだ。

さて、今度の休みは何を作ろうか!

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ササピー
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