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続コンプレックス Vol.22

年末年始は満室がずっと続く。

しかし、困った問題がいくつかあった。
雪である。
九州でありながら、標高1050メートルの地にあるため
気温はマイナス13℃を記録し、
一晩で40センチの雪が降ることもある。

スタッフが雪で出勤出来ないような事態にならぬよう12月の頭には全員スタッドレスに履き替えさせた。

これはとても重要なことであり、費用は会社で負担し、全員が実施したかの確認もしっかり行った。

お客様へ
「この時期いつ雪が降るか分かりませんので、スタッドレスかタイヤチェーンの携行を必ずお願いします!」
と、しつこいくらいにお願いした。

しかし、いくらこちらが真剣にお願いしても
九州なのに大袈裟な…
と思ったのであろう、全く何の対策もせずに来る人がいるのだ。
これは九州在住の人が多い。

今までの人生で、雪に苦しんだ経験が無いのであろう。
そして、突然雪が降り出すのだ。
雪が降るのは旅館のせいでは無い!
しかし、雪でにっちもさっちも行かなくなると、
驚き、焦り、不安になり、しだいに怒りに変わる。

間もなく旅館に「どうしてくれるんだ!」と電話が来るわけである。

「タイヤの件はきちんとご案内しました。自業自得ですね!」
とは思っても、まさかそんな台詞を言うわけにもいかない。
現在地を確認し、こちらから迎えに行くしか無い。

しかし、満室でスタッフは皆大忙しである。
結局、いつも迎えに行くのはこの私であった。

お客様の車を発見し、状況を確認する。
その車を安全な場所に移動しなければならないからだ。

たいていの場合、皆テンパっていて、また雪道の運転などしたことが無いのでやたらとアクセルを吹かしたがる。

しかし、あえて何度かやらせて、諦めてもらい、
「私がやりましょうか?」と言って運転を変わるのである。
ここ、微妙だが大事なポイントである。
諦めてもらうのである。

ハンドルを真っ直ぐにして静かにアクセスを踏めば
登りで無い限り必ず動く。

そうやって安全な場所に車を移動して、お客様を旅館に案内するわけである。
私は雪国出身なので、雪の特性や運転の仕方は熟知している。
何度も怖い目に遭い、そして何をすると危険か、何が大事かを自分のものにした。
1日に3台も4台も救出に行った日もある。

道中、道から外れてタイヤを側溝に落としてしまった車や、運悪く崖から落ちた車、カーブを曲がれず草原に突っ込んだ車など、これでもかと言わんばかりである。

一度、軽自動車が左側の助手席側ドアを下にして横に立った状態の車を見たことがある。
車の底を道路に向けて立っているその車を見たとき、
本当に怖いと思った。

帰りはどうするかと言えば、
日中は道路状況も回復するので
問題無く帰ることが出来るケースも多いが、

雪が降り続いた場合は、もうご自分でJAFなり頼んでもらうしか無い。

タイヤチェーンを手配して欲しい!
と言われるケースも多いが、大抵の場合こういう事態を引き起こす車はベンツかBMWなどの高級車。
タイヤのサイズも特殊でスタンドには置いて無いことが多い。
諦めるしか無いのである。


一晩で40センチ以上の雪が積もった!


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ササピー
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