《詩-30》海

沈んでいく記憶は
いつか
どこかで
打ち上げられるだろうか
私はそれを拾うだろうか

手についた汚れも
あの人の口づけも
ある日そっと
指からこぼれて
海に返して
波がさらってゆく

拾った遺骸は
真っ白い骨格になっていた
それはそれで美しいけれど
つまむと儚く崩れ、
乾いた砂粒が零れ落ちていく

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