消費税は預り金じゃない!?
消費税は、実は消費者から預っていない。
それを聞いて、皆さんどう思いますか?
これを理解しておくと、消費税の実務がやりやすくなります。
まずはこちらの動画を見てね
消費税は預り金じゃなかった!?
(財務省職員の答弁)
「預り金的な性格であります」
「預り税ではありません」
ということでした。
じゃあ、消費税って何やねん、というと、これは、事業者に対して新たに導入された、売上税(=厳密にいえば付加価値税)です。
・所得の金額に応じて納付するのが「所得税」
・人数や事業所面積に応じて納付するのが「事業所税」
・売上高(=付加価値)に応じて納付するのが「売上税(=消費税)」
『今後は売上(=付加価値)の3%(現在は10%)を納税してくださいね』と、国は新たな課税制度を設けた。
それが消費税です。
あくまで、課税されたのは事業者です。
消費者ではありません。
レシートに記載される消費税の意味
え?でも、レシートには、消費税が別で加算されているじゃないですか。
だから、我々消費者が払っているんじゃないの?
その疑問はごもっともです。
消費税が導入された時、事業主からは強烈な反対があり、導入はスムーズにいきませんでした。なぜか。
普通の事業者は、黒字経営だったとしても、売上に対する利益の割合は5%程しかありません。
それなのに、これからは売上の3%(※仕入控除は無視してます)に相当する税負担を強いられるわけですから、当然ですが利益が吹き飛びます。
払えるはずがありません。
さらに、消費税は売上税です。
売上によって税額が決まるので、赤字の会社であっても税金が発生してしまいます。
さて、大変なことになりました。
そこで、事業者は価格の見直し(値上げ)を行ったのです。
『これまでの価格は100円でしたが、税制改正により、今後は売上の3%を納税しなければならなくなりました。そのため値上げいたします。これはあくまで増税による値上げであって、弊社の儲けに貢献するものではございません。悪しからずご理解ください。』
そんな意味を込めて、値札の貼り換えを行いました。
従来の価格+消費税(3%)=新たな価格という書き方をしたものの、実際には価格を100円から110円に値上げしただけだったのです。
そのような、値上げの理由を値札に書くことを許可した制度、それが消費税という制度でした。
税込経理こそが正しい
以上のことを踏まえると、事業者にとっての売価は、あくまで110円です。
そのため、会計処理上の売上も、本来であれば110円で記帳するのが正解です。
税込額で記帳する方法(=いわゆる税込処理)が正しい記帳方法で、消費税相当額を預り金として記帳する税抜処理という記帳方法は、間違いなのです。しかし、国税庁は例外的に、この税抜処理を認めました。
それはなぜか。
答えは簡単、消費税制度の導入にあたって、事業者が負担する税金にもかかわらず、「預り金的性質だから大丈夫」と言ってしまったからです。
建前と実態が違う説明を、方々にしてしまったからです。
加えて、税抜処理には実務上大きなメリットがありました。それは、試算表に納税額が表示されるということでした。
税込処理だと、試算表には消費税の納税額が記載されません。そのため、計算してみないと未納消費税額が分からないのです。しかし税抜経理であれば試算表ですぐに確認できます。赤字でも納税しなければならない消費税ですから、税抜処理を採用し、納税額を常に確認できるようにしておいた方が、税務署にとっても事業者にとっても、納税漏れが起きづらくなるので都合がよかったのです。
行政書類も税込で作成が原則
毎月10日ごとに納付する源泉所得税。
士業に対する報酬の総額、税込額で記載したらいいのか、税抜額で記載すべきなのか、悩んだことがある方は多いと思います。また、請求書を作成する際に、税込額の10.21%で計算したらいいのか、税抜額の10.21%で計算したらいいのか、悩んだ方もいると思います。
これについては、国税庁がちゃんと答えを書いています。
「税込額の10.21%」が正解なのです。
その理由は、上述してきた通り、「事業者の売上=税込額」だからです。
なお、例外的に税抜金額で計算し、書類を作成する方法も認めています。
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