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子どもの精神保健福祉手帳申請で良くある相談

制度概要


精神保健福祉手帳は、療育手帳、身体障害者手帳と同じ「障害者手帳」の一つである。精神障害者だけではなく、てんかん患者も制度の対象となっている。また、単に知的障害という診断の場合は、この制度の対象とならない(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律45条)。
精神保健福祉手帳を取得することで、様々な障害福祉サービスの利用が可能となる。

申請の留意点

申請には、精神障害の診断を受けてから6カ月が経過していることが必要であり、かつ、今後も精神科での受診が必要であることが条件となる。
申請は、精神保健指定医その他精神障害の診断に従事する医師の診断書となるが、てんかんなど、精神科以外の科で診療を受けている場合は、それぞれの専門の医師の記載した診断書でも申請は可能である。
また、永続的な認定はなく、2年に1回の更新が原則である。
精神科通院の外来費用を助成する自立支援医療(精神通院医療)との同時申請が可能である。

子ども分野で良くある相談と対応

てんかんでも申請できることを知っている家族が少ない。
子ども医療費助成制度があるうちは、あまりニーズがないが、子ども医療終了時にも継続して受診する場合は、自立支援医療の情報だけではなく、精神保健福祉手帳の情報も提供する。

児童精神科分野でも、幼少期には精神保健福祉手帳の情報提供をしない場合もあるが、将来、就労系福祉サービスを利用する場合もあるので、情報提供は、しっかりとしておいた方が良い。

ただ、児童精神科分野でも子ども医療費助成の充実・年齢上限の延長など、制度が充実しているので、すぐに「精神保健福祉手帳を取りたい‼」となることはあまり多くない。

また、小児科分野では、知的障害を併存する精神障害、てんかんの患児も少なくない。
残念ならが、てんかんに配慮した教育、精神疾患に配慮した教育体制は、日本では充実しているとはいえない。
知的発達面の配慮の場合は、知的障害者の「療育手帳」を優先して取得していくケースが多いと感じる。

よって、子ども分野のソーシャルワーカーが、精神保健福祉手帳の情報提供をする場合は、精神保健福祉手帳だけではなく、療育手帳など、他の障害者手帳の制度の理解や、小児期に使える医療費助成度の概要を把握して対応した方が良い。

成人移行期支援で感じること

慢性疾患児や内部障害がメインの子どもでも、成人後に精神科への受診や、精神保健福祉手帳を取得して、就労支援サービスを利用する場合も少なくない。
療育手帳を取得する以上に、家族にはハードルが高く感じる意見を多く聞く。
ただし、取得した当事者からは、「これでやって自分の生きづらさを周囲に説明できる」「ようやく理解してもらえた」など、ポジティブな意見を言う人も少なくない。
社会福祉制度のメリットを説明者側がきちんと理解する事。そして、子どもと家族にきちんと理解してもらうこと。
子どもの将来について、誤解なくメリットを感じるように説明してスキルが必要と考える。




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