見出し画像

子どもの身体障害者手帳の申請のタイミング(小児科MSWに良くある相談)

制度の概要


障害者手帳は、福祉のパスポートである。
特に、身体障害者手帳は、利用の幅が広い。
税金、公共交通機関の割引、動物園や映画館などの割引、公共機関の利用の割引
就園での加配、学校での配慮、障害就労の利用
など本当に幅広い。
また、障害者総合支援法の利用ができるため、介護サービスの利用も可能である。

成人と児童の申請時の違い

最も大きな違いは、申請のタイミングである。
例えば、赤ちゃんは歩けない。
であれば、下肢機能障害として良いかとなれば、
当然、障害ではない。
よって、法律では、3歳を予想して記載するとなっている。
これが、上手く理解できず、「3歳以上でなければ記載できない」と断られる場合があるが、指定医師が3歳を予想できれば、0歳から記載は可能である。

もう一つの大きな違いは、「更新」である。
子どもは、「成長する」。
よって、現在の障害像が未来永劫変わらないとは言い難い。
よって、身体障害者手帳は、「期限付き」である場合が多い。

申請のタイミング

身体障害者手帳の申請は、その障害像が長く続けば、申請を検討しても良いものである。前述のとおり、「期限付き」であれば、「長く続く」と予想できる段階でも申請のタイミングと考えるばきだと思う。
手帳取得のメリットはたくさんあるので、「取れるならなるべく早く」となる。

宗派(地域性が高い)の違い

身体障害者手帳は、地域で審査会があるため、独自の診断基準が設けられている場合も少なくない。
可能であれば、医療圏にある身体障害者更生相談所と顔の見える連携体制を構築しておくことが望ましい。

一番多い相談

「身体障害者手帳取得のデメリットを教えてください」
これが一番多い相談である。
これの答えはシンプルで「デメリットはありません」である。

ただ、SNS、福祉制度に詳しくない医療者からは、「差別があった」「行きたい学校に行けなかった」などを言う人はいる。

これは、病状、移動制限、医療的ケア児ということに焦点があるものであり、身体障害者手帳の有無は関係ない。
手帳は、福祉制度を使うときに、利用する者であり、クラスメイトや学校、関係者に見せる義務はない。
返却も可能である。

制度ができて、77年目。

時代のなかでの誤解も多い。

相談対応のコツ

家族も本人も福祉制度の誤解を持っていることが多い。
その誤解を無くすこと、将来にわたって、本人のためになることを分かりやすく準備してから、クライエントである病児と家族に対応することが大切である。



いいなと思ったら応援しよう!