医療ソーシャルワークが面白くない理由

医療ソーシャルワーカーは面白い仕事である。

医師、看護師などの医療専門家と生活問題の専門家として、連携する。

地域の関係機関との連携では、それらの医療専門職をコーディネートして、かつ、目的が異なる関係機関の役割を理解しながら、患者とその家族の次の一歩を支援する。

医療は、日々進歩している。それを間近に感じることができる。そして、同時に患者とその家族の人生を俯瞰する。

堂々と「ソーシャルワーカー」と名乗れる数少ない福祉専門職。

日々、医療現場を縦横無尽・八面六臂に活躍する。
だから、頑張れるし、「好きな仕事」だと言える。

しかし、最近、「面白くない」というMSWからの意見が増えている。

特に、辞めていくMSWたちの声は切実だ。

退院支援加算以降、医療ソーシャルワーカーは、増員傾向である。

一人職は珍しくなった。

近年では、大学病院や大型総合病院を中心に、医療ソーシャルワーカーをどのように育てるべきかというマネジメント論も活況を見せている。

反面、ソーシャルワーカーとしての質を保つ唯一の機関である都道府県MSW協会の会員数は減少の一途である。

質が担保できないということは、質の低い医療ソーシャルワーカーが増えていることを意味する。

それらが、患者・家族、医師、看護師、リハビリなどの医療専門職、地域のケアマネや訪看、ヘルパーなどの関係職種に、医療ソーシャルワーカーとして認知されている。

医療ソーシャルワーカーの質の平均値は、日々下がっているだろう。

大問題である。

根本は、退院支援加算を背景にした増員である。

今までは、患者とその家族の生活問題を幅広く支援できたのに、現在は、退院支援に終始してしまっている。

それだけの仕事で完結すれば、面白くないだろう。

回復期リハや療養型は、急性期の積み残しを丸投げされる。

急性期でも厄介ごとがあると思うが、ベテランのMSWが、請け負う。他のMSWには回さない。

韓国で、医師がストライキを起こしたらしい。
原因は、医師数の増加に対する反対運動である。

それと一緒である。

数が増えることが、自分たちの専門性を担保することができないことを理解する良い機会。

そういえば、社会福祉士の15%は、医療ソーシャルワーカーとして働いているらしい。

医療ソーシャルワーカーを特化して育ている大学でもできるといいな。

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