米のとぎ汁還元水を作る スクチャイDIY日記013 2024.11.19
<序>
米のとぎ汁を使って還元水(水素水と言う人もいる)を作ろうと思う。
※酸化還元電位、還元性、酸化性、還元水などの説明は別記事(リンク)をご参照。
米をといだ後のとぎ汁を捨てずにそのまま置いておくと微生物により発酵して液は還元性を示すらしい。
酸化還元電位を測定してその変化を見ていこう。
1.米のとぎ汁を作る
米のとぎ汁はいつものように普通に米を研いで作る。
といだ後、流さないで別の容器に入れて取っておくだけだ。
そういうわけで、いつものように2合(約300g)の米をといだ。
米とぎの1回目は米がよく水を吸収してしまうということからなるべく良い水を使いたいのでいつも浄水器からの浄水を使っており、今回も同様にした。
そして2回目と3回目は普通の水道水を使った。
すなわち、米とぎは以下の水で合計3回行ったことになる。
1回目 浄水 167mV
2回目 水道水 582mV
3回目 水道水 582mV
(ORP数値は前回の測定結果)
3回といだ分のとぎ汁を、2本の瓶にといだ順に分けて入れた。
1本目の瓶には白く濁ったとぎ汁が入り、2本目の瓶には1本目のより薄めのとぎ汁が入った。
それら2本の瓶を室内常温の下で放置することにした。
2.といだ直後のとぎ汁のORPを測定
といだ直後の1本目の瓶のとぎ汁の一部を取り出してORP(酸化還元電位)を測定するとプラスの295mVであった。
1本目の瓶には1回目のとぎ汁全部と2回目のとぎ汁の半分程度が入っている。
つまり先に書いた、
1回目 浄水 167mV が全部と、
2回目 水道水 582mV の一部
が混在していることになるが、それらが混ざった瓶の内容液のORP数値が295mVであったのだ。
これを説明するために、単純で理想的過ぎる計算式ではあるが、以下の数式のように平均化してみると、
( 167 + 582 / 2 ) / 2 = 229 (mV)
の数値が出た。
これを先の測定値と比較してみると
実際:295mV
数式:229mV
である。
なんとなく似ているような数値である。
そもそも混ぜたとぎ汁の分量が正確ではなく酸化還元電位の平衡がこんな数式で簡単にまとめられるわけもなくまったく乱暴な平均化式なのだが、目安としてほぼ理屈通りの酸化還元電位が現れているような気がする結果であった。
さて、計測後にこのとぎ汁を元の瓶に戻し、ORPがその後どどうなるかを見ていきたい。
3.48時間後のとぎ汁
48時間室内で放置した後の様子だが、上の写真が1回目のとぎ汁全部と2回目のとぎ汁の一部を混ぜた1瓶目。
そして、下の写真が2回目のとぎ汁の一部と3回目のとぎ汁全部を混ぜた2瓶目。
最初のとぎ汁が濃くて、その後やや薄くなっているのがわかる。
4.48時間後のとぎ汁のORPを計測
48時間室内で放置した1回目のとぎ汁全部と2回目のとぎ汁の一部を混ぜた1本目のORPはマイナスの-357mV。(写真上)
そして、2回目のとぎ汁の一部と3回目のとぎ汁全部を混ぜた2本目のORPはマイナスの-445mV。(写真下)
両方とも見事な還元性を示していて、その数値は前回Panasonicの浄水器TK-AS31で生成したアルカリイオン水(還元水)の数値-184mVを完全に凌駕していた。
5.おばあちゃんの知恵?
ここで、1本目の濃い方のORPが2本目のやや薄い方のとぎ汁よりも数値が大きい(還元性として小さい)のはどういうことだろうか。
差は88mVなのでその程度の数値はそもそも誤差範囲かもしれず、議論する価値はないかもしれない。
しかし、ここで思い出したのが昔のおばあちゃんの知恵だ。
おばあちゃんはいちいち酸化還元電位計などを持ち歩いていないし測ってもいないし、そもそも電荷還元電位なんて何じゃそりゃ?の意識外だ。
決めつけて申し訳ないが、実際のところそのとおりだろう。
しかし、おばあちゃんは言った。
「1回目のとぎ汁は捨てるのよ」
「で、2回目は植木にあげたりするのよ」
「ほんでもって、3回目は食器を洗ったり食卓を拭いたりするのに使うのよ」
おばあちゃんは経験的に知っているのだ。
おばあちゃんもその昔、おばあちゃんのおばあちゃんにそう教わってきたのかもしれない。
そのまたおばあちゃんもさらなるおばあちゃんからそのことを聞いていて。
遡ること、米を育てて食べるようになった弥生時代のおばあちゃんまで。
弥生時代には酸化還元電位もへったくれもなかった。
しかるに、みんな経験的に知っていたのだ。米のとぎ汁の有用性を。
そう思いたい。
で、ここでは酸化還元電位が最も還元性を示したのは2回目のとぎ汁の一部と3回目のとぎ汁の全部を混ぜたものだった。
後のとぎ汁の方が還元性が高かった。
最初に書いたように、もちろん数値は単なる誤差範囲で無用な議論かもしれないが、少し薄くなった2番目以降のとぎ汁がより反応性に富んだ液体の可能性があるかもしれないということだ。
この可能性は忘れず、今後何度かとぎ汁を作るときに、さらに確認していきたいと思う。
何かの発見があるかもしれないのだ。
6.まとめ
2合の米をといだとぎ汁約1リットルを2本の瓶に分け室温で丸2日48時間置いた後ORPは1本目-357mV、1本目-445mVと、電気エネルギーで稼働する浄水器が作成したアルカリイオン水-184mVを凌駕する強力な還元水を得ることができた。
しかも最初のとぎ汁と後のとぎ汁では、後のとぎ汁の方が還元性が高かった。曰くありげだが、今回1回限りの結果だけでは何とも言えず、今後も注意して観察していくつもりだ。
特別な機械も電気エネルギーも使わずに、微生物の力だけでここまで還元性の高い水が得られたことは驚きだった。
米のとぎ汁は、米を主食とする日本人にとって非常な身近な存在だ。
それを室温で放置するだけで還元水が得られるのだ。
理屈では、米を研ぐことで落とされた乳酸菌と酵母が水溶液通で糠の糖(ブドウ糖)を分解(乳酸発酵)し、還元水ができたと考えられる。
吾輩は今、微生物の偉大な力を目の当たりにした気持ちなのだ。
7.今後
今後、得られた還元水の使い道についていろいろ実験しながら検討していきたい。
8.参照記事
米のとぎ汁が還元水となる仕組み スクチャイDIY日記010 2024.11.16
「水素水」か「還元水」か?還元水作りの予習 スクチャイDIY日記008 2024.11.16
Panasonic浄水器TK-AS31は-184mVの還元水を生成した! スクチャイDIY日記012 2024.11.18
水道水の酸化還元電位は582mV スクチャイDIY日記011 2024.11.18
(おわり)