アプリゲームでV字回復させるための条件
はじめに
ゲームアーキテクトの米元です。
アプリゲームにおいて、リリースしてすぐの初期段階では売り上げが上がっていても、その後低迷してしまう…というケースはよくありますよね。
ですが、実は売り上げが一度下がってしまったとしても、その後V字回復させることは可能なんです。
残念ながら、全てのアプリゲームで上手くいくとは言えません。では、どういう条件ならV字回復が可能になるのだと思いますか?
本記事では、V字回復を実現するための条件と、適切なタイミングについて解説していきます。
1. 売り上げが下がる原因
まず前提として、アプリゲームの売り上げが初月以降急激に下がってしまう理由は、主に下記の2つに分類されます。
ゲームのコンセプトがユーザーに合わない
ゲームをインストールしたものの、ユーザーの期待していたものと違うと、すぐに離脱してしまいます。この場合、ゲームのコンセプトを見直す必要がありますが、実質的にはコンセプトを見直すというのは新しいゲームを作ることと等しく、多額の費用がかかります。そのため、このケースではV字回復まで持ち直すのは現実的ではないです。
ユーザーが飽きてしまう
コンテンツが遊び尽くされてしまったり、同じ遊び方を繰り返すだけで単調だと感じられてしまうと、ユーザーは飽きてゲームから離れてしまいます。こちらの場合はまだV字回復の可能性があります。
では、この2つのケースのうち、V字回復の可能性がある「2.ユーザーが飽きてしまう」について、もっと詳しく見ていきましょう。
2. V字回復をさせやすい条件
理論的には、ユーザーが飽きてしまう状態を回避すればV字回復が可能なのですが、その中でもV字回復をさせやすい条件があります。その条件とは
コンテンツ追加の余地がある
ということに尽きます。
これを更に細かく分解すると、下記を満たしている必要があります。
前提として、コンセプトがユーザーのニーズに合っている
そのうえでゲームバランスが厳しく、簡単に成長できない設計になっている
ゲームバランスが厳しいというのは、例えばゲームをたくさん遊ばないとアイテムが集まりきらないようになっていたり、アイテムの配布量を絞っている(ユーザー目線だと、配布量が渋い)ことを言います。
ゲームバランスが厳しいタイトルは特に、後からのコンテンツ追加やバランス調整によって売り上げ回復がしやすいのです。
逆を言うと、初期からある程度遊ぶコンテンツが揃っているにも関わらず、ゲームバランスの設計が失敗していて、ユーザーが強化に必要なアイテムを比較的簡単に集められてしまい、コンテンツをやり尽くしてしまっている…という状態では、V字回復が難しいです。
つまり、簡単に強くなれるゲームは、早期にコンテンツを消費し尽くされてしまうため、回復が難しくなってしまうということなのです。
もちろん、コンテンツを新しく追加すること自体は可能なのですが、すでに既存コンテンツが多い状態でのさらなる追加は、ユーザーの混乱を招くだけでなく、各種要素のインパクトが薄くなってしまい、効果も限定的になります。
一方で、ゲームバランス設計が適切で、ユーザーが必要なアイテムを集めきれておらず、コンテンツもそこまで多くないというタイトルの場合は、コンテンツ追加の余地があるため、V字回復を実現しやすいです。
この場合、コンテンツや育成軸が少ないことで単調なプレイが続いてしまい、コンテンツをやり切る前にユーザーが離脱してしまうリスクはあります。しかし逆に言えば、まだコンテンツを完全に消化されていないため、適切な調整や成長軸の追加によって、V字回復の可能性が高まります。
例として、分かりやすいV字回復をしたタイトルを挙げますが、例えば『Pokémon GO』は、最初期に爆発的な人気を集めたものの、リリース直後はユーザーが遊ぶコンテンツが少なかったこともあり、急激に売り上げが落ちました。ですがその後、継続的に新しいコンテンツが追加されていき、いまでは安定した売り上げを確保しています。
3. V字回復を目指すために必要な判断材料
V字回復を実現するには、当然ながら対策が早ければ早いほどいいのですが、その前にこのタイトルはV字回復が可能なのかどうかを判断する必要があります。
その判断材料は、概ね以下の2つとなります。
ユーザーの育成やコンテンツクリアが大きく進んでいない
課金ユーザーと無課金ユーザーの差が大きく開いていない
そもそも、既にユーザーがキャラなどを育成しきっていたりコンテンツクリアが進みすぎている場合、新コンテンツ追加のインパクトが薄くなるため、難易度が上がってしまいます。
また2つ目の、課金ユーザーと無課金ユーザーの差が大きい場合も難しくなります。
というのも、基本的にはV字回復を狙うためにやることは、ゲームにやり込み要素を増やしてマネタイズをするというのがベースのやり方になります。しかし、すでに差がある程度ついてしまっている場合は、課金層が新しく課金してくれるためのモチベーションが小さい上に、無課金層を無理やり強くするためにステータスやアイテム量で下駄を履かせたとしても、今度は今まで課金していた層のやる気を削いでしまうため、V字回復には逆効果になるのです。
実際のアプリゲームで、この状況が起こっているかどうかをどうやって分析するかは、かなり詳細な判断が必要なためここでは書ききれないのですが、ここで声を大にして言わせていただきたいのは、これらの状態をなるべく早く分析して把握して判断をすることがまず何よりも大事なことである、ということです。
4. V字回復のためにやることとタイミング
V字回復でやることは、基本的にはユーザーが滞留している強さやコンテンツに対して、新たな成長軸を加えて、課金で差がつくようにしていくというシンプルな方針です。ただし、既存の成長軸やコンテンツとの整合性をうまく取らないといけないため、ここはかなり緻密な判断と設計が求められます。
また、V字回復向けの施策は、再度の流入を狙う意味も持つため、大型アップデートという形でリリースから3〜6ヶ月後くらいのタイミングで一気に行うことが多いです。
(逆に、リリース前からアップデート前提で開発をスタートさせるケースもあります)
5. V字回復施策投入後の分析
大型アップデートなどでV字回復施策を投入した後は、継続的に売上を積み上げていく必要があるのですが、よく忘れられがちなのが分析です。
コンテンツや成長軸の追加、新たなマネタイズ施策がワークしているのか、売り上げにどのような影響を与えたのかなどを分析して、細かいチューニングやその後のコンテンツ追加に活かす必要があります。
逆を言うと、せっかくV字回復の兆しが見えたのに、ここの分析をおろそかにしてV字回復のチャンスを逃すのは、はっきり言って愚の骨頂であると言えます。
しかしながら、せっかく良いものを作ろうと大勢の人が関わり、時間と費用をかけて作成されているアプリゲームが、こうした必要不可欠な分析を怠ったために消えていってしまうケースは、実際とても多いです。
6. まとめ
まとめますと、V字回復を実現するためには、
V字回復が可能であるかの判断
十分な費用や工数を投じること
施策を打ったあとの継続的な分析
の3つが極めて重要になります。
色々なタイトルを見ていると、思いの外V字回復できる可能性が高いタイトルも多く見られるので、せっかく膨大な開発費をかけ、多くのユーザーの支持を得たタイトルなら、もう一度蘇らせれる可能性に賭けてみてほしいと思っています。
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