0119鑑賞メモ_アーティゾン美術館「琳派と印象派」
日時 2021年1月19日(火)
場所 アーティゾン美術館(東京 京橋)
展覧会名 1. 琳派と印象派 東西都市文化が生んだ美術
2. 石橋財団コレクション展
3. 久留米をめぐる画家たち 青木繁、坂本繁二郎、古賀春江とその時代(コレクション展内企画)
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雑感
・相変わらず建築と内装自体が美しい。
・琳派が何たるかをキャプション読んで初めて知る。なんか京都にルーツがある…金ピカな…程度の前知識で行った私。
・オークション会社に勤めるようになってから毎度お馴染みだが、「やっぱ美術館に収蔵されてるものは一級品… 国内オークションに出てくる作品なんてカス…」という気持ちに今回もなった。きちんと手入れされている軸にはでっこぼこな巻きジワなんてついてないんやで。
・酒井抱一、鈴木其一《夏図(十二ヶ月図の内》
まず「おお表具にも絵描いてある!」と目を引かれ、次に「いやよく見ると表具、布じゃないやん!というかひとつづきの絹本に全部描いてあるやん!上から垂れてる紐※も!」と驚かされる。トロンプ・ルイユとも通じるような。凝っててよいな〜。モチーフも好き。そもそも絵が上手い。(当然)
※風帯というらしい
・そういえば本展は基本写真撮影OK。借りてきたやつは駄目なのも多かったけど。私設美術館のほうがやっぱりそこらへん柔軟でいいな〜
・印象派のほうは数観てきてるぶん琳派のほうが新鮮で面白かった。というか印象派あまり印象に残っていない。同日に観たコレクションのインパクトに飲まれた感。
・キュレーションはそこまで良くなかったような気がする。この2派ならべる必要あったのか。「都市で花開いた東西の文化」てくくるならくくるでもうちょい比較とかできたのでは。作品自体は十分な見応えだけども。
・建物は新しくてステキだが動線は若干「?」という印象。前回来たときの現代作家のインスタレーションメインの構成のときはあまり気にならなかったけど、今回のような正統派展示だとなんとなく集中をそがれる。あとキャプションパネルのナンバリングもちょっと謎やった。
・テーマがテーマだからか客層が高齢だった。
・コレクション展。素晴らしい。
・エドゥアール・マネ《自画像》
マネは絵が上手いな〜。(当然)
ザッと描いてるのに質感とか立体感とか生気がある。少し前にツイッターで「マネの描いたレモンが(筆致が粗いのに)どう見てもレモン、それもみずみずしいレモン」と誰かが言ってたのを思い出す。その通りだな。
ほんでいま流行してる写実とかハイパーリアリズムには正直そういうの感じへんのよな。再現度だけでいったら勝ってるはずなのに。力量の差というほかないな。あとまあこころざしが段違いですわな。
・ギュスターヴ・カイユボット《ピアノを弾く若い男》
パリのオルセー美術館で床削る職人たちの絵観てから気になる存在のカイユボット。金持ちでええやつ。
・事業で大成功して巨万の富を得て芸術のパトロンとなる人生、良いなあと思いました。
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余談
10月に来館した際に感銘を受けた、横の敷地の工事の様子。
巨大な地下空間に崇高を感じたのだったが、3ヶ月ですっかり埋め立てられていた。
てっきりこれから建つ建築のために掘ったものだと思っていたから少し残念。
とはいえ高いところから普段見られない大規模工事の現場を観察するのは依然興奮した。
こんなん、人智を超越する行為に感じるけど、別に人間がずっとやってきたことなんよなあ。普段自分が意識せずいるだけで、しょっちゅう行く商業ビルも駅も、なんなら住んでるアパートだって、これぐらいの規模で造られたんやなあ。
こんなもんを古代からぼこぼこ建ててさ、人類の業は相当なもんやな。
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