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ひかりをみた


物心ついた時から、私は私という存在を「無かったこと」にして欲しかった。

雨の日に傘をささない小学生は数多くいるけれど、私の場合は濡れるのが楽しいのではなくて、そのまま融けて消えてしまいたかった。

雨の日だけじゃなく、毎夜「どうか明日になったら私の存在も記憶もこの世界から消えますように」と願って眠りにつく。

もう怖い思いをするのは嫌だ、疲れた、楽になりたい。

それは歳を重ねる毎に強く深い願いになった。

そんな私が、母になった。

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