ポケットに"らいおん"
学生の頃からラジオ派です。今日も日曜夕方のいつもの番組を聞いていたら「ラチとらいおん」が話題に上がっていて、そういえば持っていたなと、本棚から引っ張り出してきました。しばらく忘れていたけれど好きなおはなし。こどもが保育園に通っていたころはアップリケも作ったのでした。
現在、高校受験真っ只中のこどもが2才のころに離婚。以来、ときどき市内にいる両親の助けを借りながらも、ほぼワンオペでやってきました。相手の都合で予定が動く仕事を担当していましたが、残業はできず、急なお迎え呼び出しもあり、申し訳ない思いで何年も過ごすことになります。
「だからこどもがいる人は…」「結局、全部こどもがいない人に回ってくる」おなじ担当の女性の先輩の言葉で、一時は食事がとれなくなったり、辞表を書いたこともありました。
その後、課内異動で担当を変えてもらいましたが、とにかく残業せず時間内で仕上げるためにはどうしたらいいか、理論的に、そして効率的にということをずっと考えていました。時間的な制約があるなか、量も質も他の人以上の仕事はしていたと、今は自信をもって言えます。
役職が上がるとリセットされる説もありますが、同じ職場で11年目。昨年度から管理職になりました。管理職試験を受けようと決めたのは、働きを認め薦めてくれた上司がいたことと、一人くらいは私みたいな管理職がいてもいいのかもと思ったから。知る限りでは、それまでの当市の女性管理職は、独身か、こどものいない既婚者か、こどもはジジババに育ててもらったと公言する人か。そんな中で、シングルマザーでもやれるんだという意地もありました。
今年に入り、2人の職員からおめでたの報告がありました。なんと予定日が1日違い。この状況下、使える制度は何でも使って、とにかく自分と赤ちゃんを第一にと伝えました。
これから子育てをする彼女たち。中堅の2人が同時に産休に入るのは職場としては大きな痛手ですが、それでも申し訳ないとは思ってほしくはないし、「こどもがいる人は…」とは絶対に言わない。それはかつての、そして今ここにいる自分を否定することになるから。
久々に手にした「ラチとらいおん」で、彼女たちとのやり取りと、かつての自分を思いました。
弱虫で泣き虫だったラチは、強くなるためにらいおんと一緒に体操をして、怖い犬からも逃げず、真っ暗な部屋からクレヨンをとってこられるようになる。
私のポケットにもきっと、ちいさな赤いらいおんがいてくれたに違いないと、思うのです。