商品を絞ること
毎回タイトルをひねりすぎているので、今回はタイトルが内容に直結したものにしました。
今回は(また)小売業のおはなし。
さっそくですがみなさんは「ABC分析」を知っていますか。
ざっくり言えば
①在庫の捌け方の状況や売上金額に応じて並び替え…
②うえからAランク・Bランク・Cランクを付け、売れ筋と死に筋を把握。
③特にAランクの商品は在庫を多く持ったりフェイス数を広げ、Cランクの商品については商品の改廃を検討するなど役立てよう。という仕組み。
これはマーケティング系統の用語の中では割と実務的なものです。(どこからどこまでをどのランクにするのかは結構ばらつきがありますが。)
ABC分析を目の当たりに
私はつい先日、このABC分析を目の当たりにする機会がありました。
とあるホームセンターに行ったときのこと。
文房具売場に行くと、少し違和感。よく見てみるといつもとちょっと違った値札が上から貼られていました。
そのラベルには左下にそれぞれ違った色の文字で「AA」「BB」「CC」「DD」「EE」と記載。なんだろうか…?と思いましたが、よくよく見てみるとボールペンの「ジェットストリーム」や油性ペンの「マッキー」などは「AA」がつけられ、某大手文具メーカーの油性ペンなどには「EE」がつけられていました。
翌週、同じホームセンターを訪れてみると、前回訪れた時「EE」となっていた品がすべてワゴン行きして大幅値下げされていました。
…もうお気づきですね。
そうです。これは5段階のABC分析だったというわけです。「EE」であった商品は死に筋商品だったということですね。
死に筋がなくなりスッキリ
死に筋がなくなり、文具売り場は少しスッキリとしていました。
だけど、私はふと気になったことが1つありました。
それは【「EE」→ワゴン】の商品の中にかなり多くのシャープ芯が含まれていたことです。
シャープ芯…つまりシャープペンの芯はご存知の通りとにかくバリエーションが豊富です。太さだけでも0.2、0.3、0.4、0.5、0.8、1.0…、濃さも色も多種多様です。
誰しもお気に入りの太さ・濃さがあり、人によってはぺんてるが良いとか、三菱鉛筆が良いとかもあることでしょう。
ところがABC分析に従って死に筋判断をしたところ、最終的に残ったのは0.5のBとHBが2メーカー分、0.5,Bの3個パックが1メーカー分、0.3のBとHBが1メーカー分、0.2のB、といわゆる8 SKUに絞られてしまい、個人的には随分減ったなぁ…という印象でした。
「EE」だけど…売れてないけど…?
もちろん、実際にどれくらい売れているのかは知るよしも無いですから、あくまで推測でしかありませんし、5段階の最も下ですから本当にめちゃくちゃ売れていなかった可能性もあります。
しかしこの顛末を見て、実務としてPOSの売れ行きの状況だけがすべてなのか?というと難しいところ、という印象を持ちました。
シャープ芯のみならず、たとえばボールペンも油性ペンも単色の黒・赤・青を取り扱っていた場合、1番売れないのはきっと「青」でしょう。
ですが、だからといって黒と赤のボールペンしか並ばない売り場は、それはそれでちぐはぐで変な売り場になってしまいます。
商品を絞ることで最大効率化するのか、それとも商品の幅を広げることでなるべく多くのニーズに応えられるようにするのか。
「商品を絞る」ことはPOSデータに基づくだけでは、良い面も悪い面もあることでしょう。どれを残すのかの判断は単なるABC分析だけではうまく行かない側面もあるのではないか…と感じた出来事でした。
あとがき
今回の体験で、売り場争いって熾烈なんだなぁ…とひしひしと感じました。
そこまで棚に余裕が無かったというわけでもないので、シャープ芯ぐらい置いておいて欲しいなぁと思いましたが、やはりそういうわけにも行かないのでしょう。
そんな中でも堂々と生き残る油性ペンの「マッキー」や大学ノートの「Campus」は王者であり、すごい存在なんですね。
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