バーテンに精を出していた大学初期①

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この記事を書くまえに思った事。それは「大学の勉強は何よりも尊い」ってこと。理系の学生として合計7年間大学にいたが、目の前にある「勉強」という機会を逃してインターンやアルバイトに逃げてた自分はすごくかっこ悪かった。よくこんなかっこ悪い生き方が今までできてたことに自分自身オスとして情けない。
あともう一点、『「水商売」という職業は社会的に差別されやすい。』という事実は確かだ。だけど、そこで働く人に対するディスは許してはならない。どんな仕事も人から必要とされて存在している。

Ep1 失恋からやけくそになり六本木でバイトを始める

当時自分は、大学一年生になったばっかりで、好きな女の子から見向きもされず、自分自身に自信がなかった。(正確には今もない笑)
そんな時だからこそ、誰にもできないような特別な経験をすることで自分に男としての付加価値をつけれないかと考えるようになった。

そこで、同じ学年でたまたま知り合った女の子に「六本木のバーテンダー(笑)」みたいな仕事を紹介してもらった。

もう当時のことなんで、六本木なんていったら外資系金融やGoogleのエリート社員・ベンチャー企業の社長たちが毎晩飲み交わす華やかな街で、素敵な出会いが山ほど転がっているイメージだった。(実際いろんな社長にあったし、有名人・政治家との出会いもあった)

そんなこともあってその話は即決。紹介のあった次の日には面接に行って無事内定をもらった。きっとこんな街で働いてる俺はイケイケでしょうがないのだとミッドタウンのとらやでニヤニヤしていたのを今でも覚えている。(帰り際には某有名ロックシンガーの吉川○司とも遭遇したりして、自分もついにイケてる大人になったかと思い完全に浮かれていた。

Ep2 前提=平凡なエンターテイナーは辛い

今思うと、その時点で気づくべきだった事が2点ある。

1点目は僕は平凡の大学生であるという事。高身長でなければ顔がいいわけでも、歌が上手いわけでもない。ただの普通の大学生なのだ。いや、むしろ大学生であるということが唯一の特徴であったという点だ。

2点目は六本木という街がなぜ日本最強の飲み屋街なのかという点である。よく考えてみればわかるのだが、それは富裕層が集まる飲み屋街という点で、渋谷や新宿と差別化されている特徴がある。そして富裕層の求める飲み屋への期待は「商品」ではなく店員の「サービス」であるということ。

そう、つまり僕は、突出した才能や資本がないのにもかかわらず、富裕層の求めるサービスをその場その場で考えて売る環境へ飛び込んだというわけだ。

そうなんだ。学生が夜の街に飛び込むというのは、無謀な賭けなんだ。貴重な学生時代をそこにベットしてはいけないんだ。自分という資本市場における商品としての価値をあげるための勉強をするべきなんだ。

EP3 キャラを作ってもらうための二つの戦略

前述したとおり、サービスマンとして売れるものが無かった自分は、少しでもお店の売り上げに寄与するために簡単な戦略を2つ構築した。今思うと、これはその場その場の仮説検証の結果なのだが、バーでの営業をするにあたり、この二つの戦略は再現性の高いものであると思っている。

戦略1:毎日シフトに入り、基本的な接客マナーとカクテル業務を体で覚える。

誰よりもシフトに入り積極的に働くことで店長や常連から「ミスをしない従業員」という印象を作ることにした。「ミスをしない」というのは一見パッとしないキャラクターである。しかし業務を効率的にこなすバーテンダーは見てても気持ちが良いものだし、話しかけやすく常連のお客さんからの信頼が得やすいと考えた。特に店長からの信頼が得られると、店長経由で常連接客の場を作ってもらえるので、お客さんから多くのことを学ばせていただく機会を頂ける。


戦略2: 次回来店時までにお客様の名前を全員インプットする

これはお客様からの信頼を完全なものにするための一撃必殺なのだ。これは「六本木で飲む富裕層」というユーザーの特性を生かしているのだ。特にメインユーザーは40代・50代の富裕層で、子供の頃からお金持ちだった人が多いわけではないと推測していた。彼らは仕事や事業で成功を収め「人から認めてもらう為に成功した」割合が高い。そんな人たちが、一回しかあってないような平凡な大学生に名前を覚えてもらえるのは、非常に嬉しいはずなのだ。そこで「あーこいつは俺のことを覚えてるし、もしかしたら憧れてるのかもな」と思わせる。それが2回目の来店時の挨拶の効果なのだ。

夜の店の売り上げは、個人の能力に依存している。特にキャラが立っている従業員は売り上げ貢献性が高いという事実は間違いない。キャラがないのであれば、いろんなお客さんに認めてもらい、彼らに可愛がってもらう中で作っていけばいい。そういう戦略だったのかもしれない。

Ep4 入店6ヶ月後の留年危機

正確には甘えていた部分が非常に大きいのも事実であるが以上二つの戦略は功をそうし、多くのお客さんとの信頼関係を構築することができた。

しかし、バイトのシフトはpm6~am6である。こんな仕事をしていて大学生活がまともなわけがないのである。

バイトで全力を出すということは、学業が全力でなくなることを意味している。

よく、両立していると言っている人がいるが、それは違う。

人は物事を全力で2つ以上できないのだ。少なくとも自分1人の力では。

次回、消えてゆく友達・劣等生に成り下がるバイトマスター。


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