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映画「The Red Pill」上映会・講演会に行ってきました

本日11月17日、蒲田駅近くで映画「The Red Pill」の上映会・講演会がありましたので行ってきました。非常にいい経験だったので、感動の冷めないうちに感想記事を書きたいと思います。

映画「The Red Pill」上映会

映画の上映は13時ごろに始まりました。

内容を簡単に紹介しておきましょう。

フェミニストでありドキュメンタリー映画監督であるキャシー・ジェイは、ネット上で「女性差別集団」として話題になっている男性権利運動(Men's Rights Activism)に興味を持ちます。ジェイ監督は男性権利運動家であるポール・イーラム、ウォーレン・ファレル、マーク・アンジェルッチ、フレッド・ヘイウォード、ハリー・クラウチ、エリン・ピッツィ、カレン・ストローハンといった人々にインタビューを試みます。

(余談:Erin Pizzeyの姓の読み方は、Pizzey本人は /ˈpɪtsi/ と言っています(Wikipedia参照)が、ジェイ監督のナレーションでは /ˈpɪzi/ に聞こえました。難しい姓の読み方はあまり気にしないのかもしれません。)

最初はMRAの人々を女性差別的な「バックラッシュ」であると考えていたジェイ監督は、彼らの話を聞くうちに、男性が直面している差別の存在に気づくことになります。それまで女性の問題しか目に入っていなかったジェイ監督は、MRA活動家の人々にインタビューを重ねるうちに、激しい葛藤を重ねながらも、徐々にMRAの主張を受け入れるようになります。

後にジェイ監督は次のように語っていますが、この映画の中ではこれらの問題が詳しく取り上げられています。

他人の子を自分の子供と偽られるのは男性だけです。米国で選抜徴兵制度に登録しなければならないのも男性だけです。職場での死亡者数: 男性が大多数。戦死者数: 圧倒的に男性。自殺: 圧倒的に男性。裁判判決の男女差。平均余命。子供の親権。養育費。虚偽のレイプ告発。刑事裁判での不公平な扱い。男性憎悪。引きこもり。学校で落ちこぼれること。ホームレス化。退役軍人の健康問題。新生児の割礼。妊娠させた後は父親になるかどうか選択肢がないこと。男性DV被害者への支援がないこと。多くの心を痛める問題があるのです。

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ナイジェリアのイスラム過激派組織ボコ・ハラムは少女たちを誘拐したことで国際的な問題となりましたが、しかしそれ以前に数えきれないほどの少年たちがボコ・ハラムによって惨殺されてきたときには全く騒ぎにならなかったことなども語られます。この社会において、男性は「抑圧者」として扱われてきました。――しかし、本当に命を落としてきたのは男性なのです。

映画の題名「The Red Pill」とは、映画「マトリックス」に出てくる二つの薬、「青い錠剤」と「赤い錠剤」から採られています。青い錠剤を飲んだ者は真実を知らないまま満ち足りた幻を見続けることができますが、赤い錠剤を飲んだ者は真実を知ることになります。MRAとの出会いはまさにジェイ監督にとっての「赤い錠剤」に他なりませんでした。映画中、男性人権運動家の名前は赤、反男性人権運動家の名前は青で示されています。

映画はジェイ監督の言葉で締めくくられます。

「私はもはや自分をフェミニストとは呼べない。」

男性差別に問題意識を持つ者の一人として、当然、今までずっとこの映画を観たいと思ってきました。しかしながらこの映画には日本語版DVDなどはなく、英語版のままでもリージョンコードのために日本では観ることができません。1年に一度シノハラさんという方が企画しているこの上映会以外では実質的に観ることができないのです。そのため、私も長いこと観ることができないまま過ごしてきました。その映画をようやく観ることができ、とてもよい経験となりました。

キャシー・ジェイ監督が男性が置かれた現実に気づく過程がよく描かれており、ドキュメンタリー映画として普通に興味深く観ることができるものだと思います。ジェイ監督の経験を追体験することが、観客にとって何よりの「赤い錠剤」となるでしょう。

講演会

講演会の登壇者は國武悠人氏とトイアンナ氏でした。一人ずつお話をする形式かと思いきや、対談形式でした。

「フェミニスト」としても知られることから登壇を不安視する声も仄かに聞こえていたトイアンナ氏はどんな感じなのだろうかと気になっていましたが、どちらかといえば聞き役で巧みな進行をされていました。質疑応答も盛り上がり、実り多い時間になったと感じます。

國武氏からは、「The Red Pill」は8年前の映画だが、この8年間でアメリカの状況は変わっており、入試において人種別・性別別に扱いを変えることが違法となるなど、男性人権運動の理念が具現化していることが述べられました。これまでの多くの人々の奮闘が実りつつあることを喜ばしく思います。

國武氏は大学生ですが、法律・国際政治のバックグラウンドが厚く、今大学入試における女子枠を検証する論文を書いて1報採用、2報査読中であるとのことです。学術的方面から男性差別を剔抉することの必要性は常々感じてきたことで、こうした方が男性差別撤廃のための活動に参与してくださっていることを心強く感じました。

また、論文、本、ウェブメディアプラットフォームなどの形で世に出すことの重要性の指摘がありました。私も今後、できる限りこうした形での発信を検討していきたいものです。

資金やリソースが豊富に得られるわけではない男性差別撤廃のための活動を、このように手弁当で行っていただけることをありがたく感じます。講演会の参加費は一人2,000円でした。参加者は結構来ている(50人くらいいたかな?)けれど、映画の上映権料、会場費、講演者への謝礼……、頭の中でそろばんをはじいてみると、ずいぶんと足が出ます。私もお金持ちではないけれど、集金箱にちょっとばかり余分に入れておきました。主催のシノハラさんをはじめ、運営のみなさま、本日は素晴らしい会をありがとうございました。

来年以降もあるようなので、ぜひぜひみなさま、万障繰り合わせてご参加ください。

男性も女性もそれ以外も互いに互いを尊重しあえる、ジェンダー平等な世の中になることを願ってやみません。

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