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街の落書き
~コバンザメのシチリア滞在記~
カターニアの街は落書きが多い。
落書きのある街は治安が良くないという認識があったので、どこを歩いても落書きだらけのこの街に初めて来たときは、とんでもないところへ来てしまったと緊張で体が硬くなった。
その落書き、歴史のありそうな建物にもおかまいなしだ。
こんなに落書きがなければ、古いヨーロッパの佇まいを街全体でもっと楽しめるのに。
メトロもこんな感じ。ここまでくるとアートともいえる(いえないか)。
何層にも塗り重ねられているようだが、会社側も消そうとはしないらしい。
メルカートのはずれの絵。これはもはや落書きの範疇を超えている。
最初のうちはできるだけ落書きを見ないように必死で歩いていたが、不思議なもので、最近この落書きに慣れてきた。落書きの量と書かれ方で、歩くのを避けた方がよさそうな道とたぶん大丈夫だろうと思われる道を判断できるようになってきた気がする。
移民も多く経済的にも豊かではないといわれるこの街。
いつ、誰が、どんな思いでこの落書きを書いたのだろうと色褪せたインクを横に見つつ、今日も街を歩く。