今日も小銭を持ってMercatoへ
~コバンザメのシチリア滞在記~
暗い中庭に面した窓から首をのばして見上げ、明るい日差しと真っ青な空が目に入ると、マーケット好きコバンザメは「今日もメルカート日和」といそいそと買い物の準備をする。
準備と言っても大したことはない。
愛用のメルカート買い物用小銭入れの中に、充分な小銭が入っているか確かめるだけ。
オープンなメルカートではやり取りがさっさと済むように、1€、2€単位で、細かくても50¢までのやりとりが多い。メルカート隣接の肉屋、魚屋では1¢単位はまけてくれたりもする。
そんなわけで、野菜や果物購入には1€、2€コイン、少額紙幣が必須である。まちがっても50€紙幣などを持っていってはいけない。場合によっては受け取ってくれないだろう。
品物が山のように積み上げられている屋台で注意するのは単位。ひとつ1€なのか、ひと山1€なのか、1kgが1€なのかよく見ないと分からない。なんにしても結構な量なので、とにかく1€分ほしいと伝える。
威勢の良いかけ声で呼び込みをしている屋台の人は、袋に品物を入れるのも勢いが良い。目の前の山から次々に袋に入れ、秤で量ってほいと渡されるころには、目はもう別の買い物客へ。
帰宅して戦利品を確かめると、少し痛んだものが入っていることもある。イタリア語があやしいアジア人のおばちゃん相手で、なんだか少しぼられたのかなと思うときもあるが、気にしてはいけない。売り物を選別しないのが安い理由なのだ。
ともあれ威勢の良いやりとりは結構楽しく、ついつい買いすぎてしまう。
ところでメルカートには、たぶん自分はこれからも買わないだろうなあと思う食材も売っている。
オープンなスペースで臓物系が見られるのもメルカートならでは。
カタツムリも。普通のマダムが買っていて驚いた。
自分では買わないだろうけれど、ああ、今日も売っているなあと眺めずにはいられない。
シチリアのメルカートは今日も元気である。