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親の介護は突然に ー1話 ……がないー

 階段から転落した母は、父との二人暮らし。
 数年前まで妹も一緒に暮らしていましたが、結婚し隣県へ。
 父は脳梗塞で倒れて以来片麻痺になり、母が老々介護をしていました。
 しかし父に関しては家族が何度止めても酒もタバコもやめなかったので、自業自得だと思う節がありそこまで気にはしていませんでした。母が医療に関わっていたこともあり、大丈夫という母の言葉に甘え、介護を任せきりにしてしまったのを今ではとても後悔しています。
 そんな母の介護ありきで生活していた父。
 一人取り残された父はこの時、以前に患った咽頭癌が再発している可能性があったため、検査を控えていたのでした。
 運の悪いことは重なるもので、隣県にいる妹も出産を間近に控えており、里帰り出産の予定で家に帰省していたんです。
 いや、出産はめでたいんですが、身重の妊婦への精神的肉体的不安もさことながら
 
 この現状に、新生児が増える……だと。

 無事に手術は成功したものの、母が損傷したのは首の骨。
 首の骨を損傷すると助かったとしても、何かしらの障害が残ります。母も今後は歩くこともできず、車椅子で余生を過ごすことが決まっていました。
 母がなんとか自宅に帰ったとしても、改築改装は必須。しかし我が家は実家あるあるで、そこそこ物の多い家。私も遠方で妹もこれから子育てが始まるとなると、いざ改装が決まっても、すぐに実家の片付けなど着手できません。
 となると、片付けも今から手をつけるのが得策。
 母の入院から数日後に受けた検査で、やはり咽頭癌が再発していた父も手術が決まり、その日程はほぼ妹の手術日と同じ頃。
 現在入院している母の荷物、父の入院セット、妹の入院セットと三つの入院セットを、渡された書類の通り妹と手分けして実家を漁り準備していきます。
 がっ、ここで問題発生。


 足りないんですよ、タオルが。


 フェイスタオルやバスタオルなど、結果としていらない枚数ではあったものの、当初書類に記載されていた枚数を家族分かき集めると、現在手拭きとして使用しているもの以外のタオルが全て消えました。
 幸い押し入れに、母がストックしていた大量のタオルがあったので、それらを洗濯して総動員することに。
 ただしこのタオルのうち半分ぐらいは、黄ばんだりよくわからないシミがついていてぞっとしたのは、またの機会にお話しします。

 おそらく母の介護が必要となり、最初になくて慌てたものは、保険証でもお薬手帳でも通帳でも印鑑でもなくタオルです。
 まぁ100均でも簡単に買えるんですけど、100均やスーパーが遠い田舎の場合はそれなりに困るということを覚えておいてくださいね。 

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