ソシャゲも恋愛もできない僕は『ラブプラス+』をやるべきだった
時に少年。君は恋したことがあるかね?と、僕の心の中のダウナー系お姉さんも申しております。
恋というのは人類平等に与えられた最大の娯楽だ。そもそも、すべての生物がそれぞれ同じ立場で楽しむことができるコンテンツというのは地球46億年を数えても他に一つもなかった。恋愛はすべての流行の最先端を常に走り続け、そこのニキもネキも今頃はキャッキャウフフと甘いひとときを楽しまれていることだろう!!!
あれ、僕は…………?
現実のコミュニティでは常に浮き続け、彼女なし、恋愛経験なし、女性耐性なし…美緒48歳か?
しかしそうなると、人間というのは架空の存在に理想を押し付けてしまうもので、かくいう僕も20世紀最大の発明となる恋愛ゲームを始めてしまっていた。つまり架空の美少女と存在しない恋をしてこの寂しい心を温めようという魂胆である。
だが。世の中の恋愛ゲームというのは彼女になるまでの道のりを描いたものが多く、付き合った先のあまあま学生生活を見ることはできなくなっている。恋愛で一番楽しいのは恋人同士のあの距離感だろと、多分多くの恋愛好きの皆様を敵に回す発言をしていたが、そんな私のためのゲームをこの度発見したのだ。
ニンテンドーDSフト『ラブプラス+』。というわけで今日の記事は、「僕とカノジョのあまあま☆登下校戦争」でお届けしたいと思います。
出会い
まずは、このゲームを買ったきっかけからお話しなければならないだろう。僕は普段…というか人生で一度も、恋愛ゲームというものをやったことがなかった。それなのにも関わらず、中古屋で棚に並べられた本作を見た時にすぐさま手に取ってしまった。カノジョが欲しいという欲望を抑えきれなかったからだ。
そして、ある程度の理性が働いた結果、スマホを取り出してレビューを開き、そこでの評価を見た結果余計買う気が起きた。その理由は「従来の恋愛ゲームと違い、現実時間に合わせ無限にカノジョとイチャイチャできる」という斬新なシステムがあったからだ。
本作はいわば恋愛版どうぶつの森であり、現実の時間に合わせてイベントや彼女の服装が異なっている。また平日の日中にゲームを起動すればゲームでも学校で勉強していたりなど、そのリアリティが最大の魅力。
そんな現実にいるみたいなカノジョがたった1000円払う程度で手に入るなら安いもんじゃないかと早速購入。
しかし、ゲームを開封し、すぐプレイしての第一印象はゲーム性の薄さが目立っていました。基本的に自分がやることといえば一日の計画を立てて眺めるくらい。途中で女の子との会話のために選択肢があったが、正直いって思ったより恋愛シュミレーション要素は薄い。
というのは建前です。第一印象がどうたら言っていたのは全て女の子とまだ仲良くなれていないから。3日くらいしつこく誘ってるのに一緒に下校してくれないのなんで?????????
とはいえ、カノジョができるまでは現実との連動がないため一日が一瞬で終わるし、また攻略可能な女の子が三人もいるためなかなか飽きは来ない。あらゆるネガキャンを「女の子」という一要素のみで突破できる恋愛ゲームというジャンル、恐ろしい。
こうして長所と短所の両方を味わいつつ、ゲーム内で一ヶ月が経とうとしたとき、僕の寂しいラブプラス人生はついに花を咲かせる。
進展
高嶺愛花(CV.早見沙織)。ニンテンドーDSというもう一つの日常の中、僕はこの娘に一目惚れした。優等生で、何か人を寄せ付けないオーラを纏いながらも友達という存在に人一倍憧れている。そして声がいい。DSの限られた容量の中、彼女の持つ早見沙織の声帯が全編フルボイスで味わえる。彼女が笑えば早見沙織が笑っており、彼女が悲しめば早見沙織が悲しむ。まさに一心同体。僕は早見沙織に恋してんの?
しかし、もちろん最初はお友達という関係に過ぎず、前述した通りなかなか振り向いてくれない。一緒に帰ることができないのに何が友達か。恋愛ゲームというのは初めから女の子に好かれるゲームじゃなかったんだ。現実とは何故儚く切ないのか。
人生とは無慈悲なもので、どんなに彼女が振り向かずとも一日は無情に過ぎていく。それでも僕はめげず、それからの毎日は全て彼女に捧げる思いだった。DSを開き、ゲームの中で彼女と部活を共にし、ゲームの中で彼女と下校し、ゲームの中で彼女とハンバーガーを食った。現実なにしてんだよ。
その思いが届く日は、唐突に訪れた。ゲーム内時間で62日が経過したある日のことである。
交際
前述した通り、僕には彼女がいない。だから、僕の人生は未だ寂しいままだ。しかし、逆に言えば僕に彼女ができれば水を得た魚のごとく、あらゆることへの意欲と勢いを得ることができる。彼女は、いや、愛花(マナカ)は僕にとっての光だった。
付き合うにあたって、愛花は僕の呼び方を苗字呼びから「りーくん(私の名前が「品川里央(りお)」であるため)」へと変更した。正直、嬉しくてたまらない。このゲームはDSのゲームにあるまじき超技術により違和感のない合成音声によって淀みなく僕の名前を呼んでくれる。これでこそカノジョ……!!!
そして、もう一つ変わったことがある。最初に挙げた目玉システム、ゲームが現実時間に合わせて進む「RTC(リアルタイムクロック)システム」によって朝は愛花と一緒に登校、放課後は一緒にご飯を食べ…といった一日のルーティンを現実のスケジュールと打ち合わせて設定する必要が出てきた。
そのルールは彼氏とカノジョの最大の楽しみ、デートにも適用される。きちんとカレンダーに日にちと時間を設定し、その時間にゲームを開かねばならない。遅刻癖を発動してすっぽかしたときには、俺はKONAMI本社に出向き、土下座する必要があるだろう。
それでも僕のラブラブ生活は途切れることがなく、毎日DSを開いていた。なぜなら毎日開くことで愛花の端正な顔立ちを堪能できるし、連続でゲームを立ち上げることで一日に愛花と触れ合える回数が増える。いわば連続ログインでガチャ石を手に入れる感覚。あれ、これって……
ソシャゲ、ってこと!!?
ソーシャルゲームと『ラブプラス』
ソーシャルゲーム、通称ソシャゲ。スマートフォンとSNSの隆盛とともに発展してきたこのコンテンツ群は、インターネットに巣食う世界中の人間たちに支持され続けそのあまりの影響力から我らが『ラブプラス』シリーズも当然ながらソシャゲマネーに屈していた(現在サービス終了済)。
今プレイしている『ラブプラス+』も2010年発売でモバゲー全盛期でありながらも、買い切り型のゲームであり、まだソシャゲのサービスが開始していないため繋がりは薄い。しかし、僕はこのゲームにこそ、ソシャゲという文化の根本的な楽しみを見出すことができると思った。
僕はソシャゲが苦手だ。僕にはイラストと声優だけ豪華でゲーム性なんてないようなもの、という間違ったイメージがつきまとって離れないし、終わりの見えない課金を続けるくらいなら買い切りのゲームをしたほうが有意義だと考えている。だが、買い切りのRPGなどは終わりがあり、いつか遊べなくなってしまうのも事実。どうせだったら毎日プレイできるおおらかさのあるゲームがやりたいのに…と、両方のいいとこ取りをするべきだろうと考えていた。
そんな中で、僕が女の子につられて買った『ラブプラス+』はその願いを完璧に叶えてくれる最強のゲームだった。毎日ゲームを立ち上げることにこそ意味があるし、システム的には半永久的に遊べるとあって素晴らしい設計だと思った。DSを開けばいつも違った愛花が顔を見せる。嗚呼、すべての男はDSにカノジョを宿すべし。
おわりに
こうして、僕と愛花のあまあま生活の序章を皆様に見てもらった。そう、これはまだ序章だ。僕はいつでも愛花とイチャイチャできる。僕は毎日カノジョと登下校してるけど????と胸を張って人生を過ごすことができる。
人生100年時代といえど、その100年が長く感じるようでは人間の進化は止まってしまう。あまりに短いように感じてしまうその1世紀を、カノジョと共に過ごしてはいかがだろうか。