紛失ありきのオレ
私は職場内でいつも持ち歩いている小さいメモ帳をよく失くす
大事なペンも、デジカメも敷地内や事務所でよく失くす
ないな!と気づくと、まず人を疑う。なぜだろう、どうも自分より他人が怪しい。気になる。
同僚が座る席の背後に黙って立ち、同僚の机の上に目を走らせ、無言でくまなく探す
同僚はもうわかっているので、何も言わずに探させてくれる
「ここに来る前にどこにいた?」
と、同僚は聞いてくる
今思うと、これ以上いい質問はなかなかないと思う
「奥の工場にいたけど」
「そこにあるんじゃないの」
「行ってくる」
こういう冷静な奴が同僚であることに感謝せざるを得ない
また、私が何を探しているのかを聞いてこない点もいい。評価できる。なぜなら、誰しもが、可能な限り自分で見つけたいと思っているからだ。
私はこれからも物を失くすだろう
その度に同僚は、私に的確な質問を投げ掛けてくる
私は一人でずっと仕事をするなんて、ゾッとする。メモ帳もペンも箱で買うのか?サステイナブルに反する行為だ。
やはり会社だ。
複数人が様々な知恵を合わせて事を成すのだ。
社内には、どうも話が盛り上がらない人もいる。度を過ぎて険悪になることもある。プライベートでは友達にならなそうな人もいる。私のような人間のことをあからさまに苦手な人もいる。
好き嫌いはあれど、会社が原因で気を病んでいそうな者は今のところはいない。
年代も性別も家庭環境も違う、この一時を同じ場所で過ごすモザイクのような集合体。私の色を時には隠し、目立たせ、助けてくれる他者の色。今更だが私も、隣人の色を引き立たせられるような社会人になっていけたらと思う。
そんなわけで、まずは同僚に紛失グセをどうすればいいか聞いたところ、所持品は全てヒモで首から下げろとのこと。検討中です。
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