見出し画像

[終わる/かまわない]→「そろそろよろしいでしょうか」を説明しろという問題

福島大学の入試の国語の問題にこの本「しゃべるヒト」に書いたチャプター「語用論」が使われて、オンラインで公開されている。

福島大学過去問題(令和6年の国語)

実際のところ、問題が難しくてびっくりした。高校生にこれを解かせるのか。言語学の授業のレポート課題みたいだ。

私の書いたものは、「一般向けに語用論ってこういう現象を説明するものだよ〜」という例示ばかりだった。

例えば、娘がお餅が食べたいときに「Fちゃんおもちすき」といっていた。落語の「まんじゅう怖い」と逆だ。どっちも語用論で説明できる。できるのだが、理論を使ってどう説明するのかまで書かないで放置した(?)ものが、設問になっている。しかも、何で説明するのかのフレームワークは別の方のものが問題文に貼ってある・・・・・・。そしてそのフレームワークを使って、説明しろ、というのがこの問題の作り方だ。

問題の最後にくるのが、日本手話では、目上の人に対しても話を切り上げるとき「終わり/かまわない」(直訳すると、「話を切り上げて良いですか?」)なのだが、日本語に訳す手話通訳者は、日本語でその場に合わせた丁寧さで「そろそろよろしいでしょうか、お席に〜」と案内してほしい、という通訳技術が必要だという箇所だ。

これは、日本語と日本手話のポライトネスの表現の仕方が違うからなのだが、ちゃんと設問にポライトネス理論の引用があって、これを参照しながら、「終わり/かまわない」が「そろそろよろしいでしょうか」にしなければならない理由を説明しろ、という……。すでに半分以上解説が載ってる状態なので、この入試問題は勉強になる!

手話通訳のみなさん、ご自身の日々の言い換えについて、ポライトネス理論で説明してみませんか。この問題、是非解いてみて欲しい。

福島大学2024年度入試問題(PDF直リンク)

今度、手話通訳学科などの授業で使ってみよう…受講生の皆様、おたのしみに。

いいなと思ったら応援しよう!