第4回なぜ学校でお金の授業がないの?社会に出ると困るのでは? 素人からの無邪気な質問に、ジーニアス河野が、上品に皮肉を込めて答えるシリーズ!

素人からの無邪気な質問に、ジーニアス河野が、上品に皮肉を込めて答えるシリーズ!

第4回

なぜ学校でお金の授業がないの?社会に出ると困るのでは?

「なぜ学校でお金の授業がないのか? 社会に出ると困るのでは?」という問いは、多くの人が一度は考えたことがあるテーマではないでしょうか。

実は、日本の学校でもお金に関する教育は行われています。

ただ、その実態を知ると、いろいろな課題が見えてきます。

まず、小学校では家庭科の授業で、お金の基本的な使い方や計画的な消費について学びます。

例えば、買い物の仕方や予算の立て方など、生活に必要な基礎知識を身につけることを目的としています。

中学校では、これに加えて消費者としての権利や責任、契約の仕組み、さらには働くこととお金の関係について学ぶ時間が設けられています。

高校では、公民科や家庭科を通じて、税金や社会保障、資産運用、投資といった実践的な金融リテラシーも扱われるようになっています。

しかし、これだけ聞くと「ちゃんとやっているじゃないか」と思うかもしれませんが、現実はそれほど理想的ではありません。

たとえば、授業時間の限られた中でお金に関する教育がどれだけ深く行われているかというと、正直なところ、かなり表面的な内容に留まっている場合が多いです。

家庭科や公民科は他の主要科目と比べて授業時間が少ないため、どうしても優先順位が下がってしまいます。

さらに、教員側の課題も指摘されています。

金融教育は高度な知識を必要とする分野であり、すべての教師が十分な専門性を持っているわけではありません。

例えば、投資や資産形成といった内容は教員自身の経験に左右される部分もあり、実践的な指導が難しい場合があります。

加えて、金融教育が苦手な教員も少なくなく、結果的に教材をそのまま使うだけの形骸化した授業になりがちです。

また、学校での教育が家庭環境や社会状況を十分に考慮できていないという課題もあります。

お金に関する考え方や使い方は家庭ごとに異なり、生徒がそれぞれ異なる環境で育っています。

こうした背景を考慮しない教育は、実際の生活にあまり結びつかない場合もあります。

その結果、多くの新社会人が「学校でお金のことなんてほとんど教わらなかった」と感じるのは無理もないことです。

税金や社会保険、ローンの仕組みなど、社会に出て初めて直面する課題に対する準備が不十分だという声はよく聞かれます。

これは、学校教育の中で「社会に出たら役立つ知識」が十分に優先されていない現状を反映していると言えるでしょう。

さらに皮肉を交えるなら、教育現場では「お金よりも成績」という暗黙の価値観が根強く、金融教育に割く余裕がないとも言えます。

そもそも、現場の教師たち自身が「働き方改革」や「残業代ゼロ」という現実に直面している中で、お金について理論的に教える余裕があるのか、という疑問も生じます。

総じて言えば、日本の学校でお金の授業は存在しますが、その質や量には多くの課題が残されています。

生徒たちが社会に出てから本当に困らないようにするためには、より実践的で、生活に結びついた金融教育が求められています。

それは単なる知識の習得ではなく、生徒自身が将来の生活設計を考えられる力を育むことにつながるはずです。

学校教育がこの分野でどれだけ進化できるかが、今後の大きな課題と言えるでしょう。


レトリカ教採学院
河野正夫


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