「ハンロンの剃刀」という考え方は重要です。教員採用試験の不合格の原因の分析にも役立ちます!
先日は,「オッカムの剃刀」という考え方をご紹介しましたね。
https://note.com/rhetorica/n/n29cfa0c4e20b
「オッカムの剃刀」とは,
「ある事柄を説明するためには、必要以上に多くを仮定するべきでない。」
ということでした。
つまりは,簡単に説明できるのであれば,簡単なほど良いということですね。
今日は,「ハンロンの剃刀」(Hanlon’s razor)をご紹介します。
「ハンロンの剃刀」は,次のようなことを意味します。
「無能で十分説明されることに,悪意を見出してはいけない。」
(Never attribute to malice that which is adequately explained by stupidity.)
つまり,ただ単に無能だということで説明がつくのに,わざわざ,悪意があったからだと,こじつけてはいけないということです。
ものすごく簡単な例で言うと,
うっかりとデートの時間を忘れていた恋人は,ただ単に,愚かにも忘れていただけであり,その単なる愚かさを,「愛が冷めている」などと悪意に解釈してはいけないということです。
この「ハンロンの剃刀」をご紹介するのには,理由があります。
「ハンロンの剃刀」は,教員採用試験の面接においても,ある意味,重要な意味を持つのです。
教員採用試験の面接で,何年も続けて不合格になる人がいます。
そういう人は,すぐに,次のように考えます。
「自分の何が悪かったのだろうか?」
「自分には補いきれない欠点があるのだろうか?」
「自分は何か悪いことをしたのだろうか?」
時には,本当に「悪い」要因がある場合もあり得ますが,通常は(数字で言えば,おそらく70%以上は),「悪い」要因は存在しないのです。<注1>
「悪い」要因ではなく,「愚かな」要因が,70%以上です。
「愚かな」要因,つまりは,「無能」ということになります。
つまり,教員採用試験の面接で,繰り返し不合格になるのは,あなたに悪いところがあるとか,面接官に悪意があるとか,そういう,何か「悪い」要因があるということが理由ではなく,あなたが,シンプルに「愚か」に面接で振る舞っているというだけなのです。
では,面接での「愚かさ」(言い換えれば「無能」)とは何かというと,それは次のようなものです。
明るい表情ではない。
楽しいこと(前向き,ポジティブ,聞いていて心地よい,好感が持てる,共感できること)を語っていない。
楽しく語っていない。
常に笑顔でない。
元気さがない。
爽やかさがない。
以上のことは,人が人に話すときに当然のパフォーマンスです。
よくわからないという人は,次のような状況を想像してみてください。
あなたが,8ヶ月の赤ちゃんや,1歳半の幼児に話しかけるときは,どんな表情で話しかけますか?
あなたは,きっと満面の笑みで,明るく,元気に,爽やかに,楽しそうに話しかけることでしょう。
あなたは,赤ちゃんや幼児は,あなたの表情や雰囲気を,あなたからの主要なメッセージとして受け取ることを知っているからです。
赤ちゃんにとって重要なのは,言語で語られる内容の正確性ではなく,あなたの表情や雰囲気だということが,あなたにはわかっているからです。
でも,教員採用試験の面接では,正しいことだけを言おうとします。
正しく,適切な内容であれば,合格すると勘違いをしています。
表情や雰囲気には,あまり気を付けません。
あなたが,8ヶ月の赤ちゃんや1歳半の幼児に語りかけるときに見せるような,明るく,元気で,爽やかで,楽しそうな雰囲気を,面接官には絶対に見せません。
だから,不合格になるのです。
だから,不合格になり続けるのです。
あなたが教員採用試験の面接で不合格になるのは,そういったあなたの「愚かさ」(「無能さ」)が原因です。
あなたが普通にできること,普通にやっていることを,面接ではしないという「愚かさ」が原因なのです。
この「愚かさ」を,「悪意」に解釈してはいけません。
あなたには,「愚かさ」以外の「悪い」要因はありません。
面接官には,「悪意」はありません。
面接には,あなたを不合格にする「悪意」ある陰謀はありません。
ただただ,あなたの「愚かさ」による不合格です。
もう一度,面接での「愚かさ」を定義しておきます。
面接での「愚かさ」(「無能さ」)とは,
明るい表情ではない。
楽しいこと(前向き,ポジティブ,聞いていて心地よい,好感が持てる,共感できること)を語っていない。
楽しく語っていない。
常に笑顔でない。
元気さがない。
爽やかさがない。
ということです。
「ハンロンの剃刀」,とても重要な考え方なので,是非,理解しておいてくださいね!
<注1>「時には,本当に「悪い」要因がある場合もあり得ますが,通常は(数字で言えば,おそらく70%以上は),「悪い」要因は存在しないのです。」
⇒ 本当に「悪い」要因がある30%の場合は,戦略的な準備が必要です。合格のためには,コンサルティングと戦略立案が,何よりも重要です。
河野正夫
レトリカ教採学院