「何言ってんだこいつ」は思考停止
気づいたら同じ部署で働いて5年目になりました。経験を積むと大抵のことが知っていることになるので、新人や、中途で入ってきた人に対して「何言ってんだこいつ」と思ってしまうことがちょこちょこあります。しかし、最近「何言ってんだこいつ」は思考停止かもしれないと思ったので、シェアします。
「何言ってんだこいつ」と思うとき
まず、我々はどんな時に「何言ってんだこいつ」と思うのでしょうか。
「知識」が「思考」を邪魔しているとき
一つは、「知識」が「思考」を邪魔しているときです。ちきりんさんは著書『自分のアタマで考えよう』の中で、「知識」と「思考」を区別しようと述べています。知識があると、新しい情報やアイデアに出会っても、それに対し思考せず、既にある知識でもって否定しまうことがあると言います。
さらに、知識の中でも成功体験と結びついた知識が特に影響力が大きいと言います。
「何言ってんだこいつ」は、まさに知識が思考を邪魔して、新しいアイデアを否定してしまっている状況です。
認知的不協和が起こったとき
もう一つが、認知的不協和が起こったときです。認知的不協和とは、これまで自分が持っていた・信じてきた考えと、観測した事実や自分自身が取っている行動が矛盾していることに気づいて不快感を感じている状態のことです。
『失敗の化学』では、認知的不協和に対する反応として、元から持っていた認知と矛盾する新たな認知に対し、無視したり否定したりすることがあると言います。
そして、「何言ってんだこいつ」というのは、まさにこの認知的不協和に対する否定なのではないかと思います。
どちらも優秀な、発言権のある人こそ陥りやすい
厄介なのが、上述の現象は、どちらも優秀な、発言権のある人こそ陥りやすいということです。
思考を邪魔するほどの十分な知識を蓄えるためには、多くの経験・成功体験を積んでいるでしょう。また、優秀な人ほど自らの認知(過去の知識)と矛盾するような考えを受け入れるのは難しくなります。
その結果、組織にとって貴重かもしれない新人や中途の人の意見が「何言ってんだこいつ」という思考停止によって切り捨てられてしまっているかもしれないのです。
「何言ってんだこいつ」と思った時ほど前のめりに意見を聞いてみる
そこで、「何言ってんだこいつ」と思った時ほど前のめりに意見を聞いてみるのはいかがでしょう。
「何言ってんだこいつ」と思った時は、
・なぜ自分は「何言ってんだこいつ」と思ったのか。自分の持っている知識と、この人が言っていることのどこが異なるのか
・この人が言ったことを否定するのに十分な根拠やロジックが本当にあるか
・この人の言ったことを自分の知識・アイデアと融合させてさらに一般的/高度なアイデアに昇華できないか
といったことを考えてみるのです。
「何言ってんだこいつ」と言わんばかりの態度を取られたら鼻で笑ってみる
逆に言うと、何か新しいことをやろうとしたり、新しいアイデアを出したときに「何言ってんだこいつ」と言わんばかりの態度を取ってくる人がいたら、「ああ、この人は知識にとらわれて自分のアタマで考えることができなくなっているんだなあ」と鼻で笑ってあげればよいのです。
以上です。