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石丸伸二が直接対決を恐れる宿敵 第8回 ~石丸現象が示す病理~

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番外篇②


西日本豪雨では三原市長岡田吉弘が緊急安全確保を発令

先週の台風10号は、台風の進行速度が遅かったために各地で積算雨量が著しく多くなり、深刻な被害が出た。犠牲になった方のご冥福をお祈りし、被害が大きい地域の一日も早い復旧を願う。

2021年西日本豪雨の影響で、三原市では天井川の堤防が決壊したために、最大になる警戒レベル5とされ、緊急安全確保が発令された。これを判断するのは市町村長の役割である。

前安芸高田市長石丸伸二は台風接近中に千葉県のトライアスロンに出場

2022年の台風14号接近中の石丸の行動について、安芸高田市議会では質問が行われた。

山根(議員) 随時情報共有は、共有される状況にあればできること。想定以上のことが起きるのが災害。まず、現場でしっかりと状況を見定めるのが市長の役割だが、16日には全部想定して対応していると言う。18日にどこにいたか市長自ら言われるかと思ったが、私の方からどこで、何をされていたのか市長に思い出していだだく。どうして、予測される大きな台風が来るときに、わざわざ何かあっても駆けつけることのできないそんな遠くに。トライアスロンのために。執行部は、この3日間の市長の動きを把握していたのか。副市長に伺う。

(石丸)市長 公務が入っていない時間帯はプライベートの時間だ。そのプライベートの時間を詮索されるのは大変気持ちが悪い。はっきり言って、キモイ

(米村)副市長 執行部としては、3日間は公務が入っておらず把握していない

※()と太字は筆者 温ちゃん通信 第24号

18日には警報が発出されていたのに、石丸は千葉県くんだりまで出かけ、趣味のトライアスロン大会に出場していたのであった。

ちなみに、安芸高田市議会は2022年度の決算を不認定としている。理由は石丸がトライアスロンに出かけていたことである。決算の不認定とは、その年度の市長の働きは落第点という議会の最終判断と考えて良い。

判決がおかしいと息巻く取り巻き

石丸を盲信する者達は、石丸が数々のトラブルを起こしても、ことごとく石丸の肩を持つ。石丸が2件の民事訴訟で敗訴しても、原告の落ち度を言い募り、あまつさえ裁判官がおかしいとまでのたまう。「無印良品」の設計調査費の専決処分では、反対した議会が安芸高田市の発展を妨げたとして口を窮めて罵った。

選挙ポスター代金未払い訴訟

こんな訴訟で最高裁まで争うのは、意図的な代金踏み倒しの誹りを免れない。

簡単な話である。業者と石丸の間に公費上限額以下に収める合意はなかったし、業者が請求した金額は妥当と認められる。したがって、支払いを拒否するのはただの嫌がらせである。しかも、この業者には石丸の妹が勤めていたが、選挙ポスターを納品後に退職したという。

恫喝捏造名誉毀損訴訟

居眠り問題に端を発し、石丸が安芸高田市議会議員に恫喝されたとSNSで発信したことによって、石丸に名誉毀損されたとして議員が市と石丸を訴えた事件である。石丸は安芸高田市長であったことから、被告は安芸高田市となり、安芸高田市は上告を断念した。
もちろん名誉毀損は不法行為であり、石丸本人が働いたものである。国賠法により公務員の賠償は、公が肩代わりすると決まっているだけのことである。

一・二審の判決によると、石丸が議員に恫喝されたとする発言そのものがなかった。石丸を盲信する者は「石丸が恫喝された証拠を提示できなかっただけで、実際に恫喝されなかったかまではわからない」などとほざいた。恫喝されたと信じる理由も証拠もないならば、恫喝があった可能性を考える必要はない。しかも、石丸以外に恫喝発言を聞いたと言う者は、市の職員も含めて一人もいないのである。

無印良品出店専決処分

石丸は、道の駅「三矢の里あきたかた」に、無印良品の店舗を誘致するための調査設計費を専決処分した。議会はこれを不承認とした。

決定プロセスよりも決裁までのスピードが重要と言う者がいる。早く決裁したいならば、決定権者に同席を請うなりして、説明の機会を設けることが肝要である。議会への説明を端折って承認を得られないのは、石丸の折衝能力の低さを露呈したに過ぎない。
ちなみに全国の自治体首長が専決処分した全案件のうちで、99%以上が議会の承認を得ている。

うっかり石丸に投票した者達の実像

都知事選開票後の各テレビ局のインタビューで、石丸は不機嫌をあらわした。その態度を見て「こんな人だとは思っていなかった」と落胆したり、独特の切り返しを「石丸構文」と呼んで揶揄する者も出た。しかし、石丸の安芸高田市長時代には、議員や記者に対してこのような対応が、当たり前のように行われていたのである。

彼らは石丸について何を知っており、石丸に何を望んだのであろうか。

中高年は存在そのものが老害になっている

日曜の朝にテレビをつけたら、画面では絨毯敷に3人の女性が座り込んでおしゃべりをしていた。松居直美、磯野貴理子、森尾由美が、フジテレビ「~起きた朝はシリーズ」にレギュラー出演し始めてもう30年以上が経つ。昭和後期はテレビに映る人気者達の多くが若者であった。私は番組が放送開始される以前から3人とも知っていた。レギュラー出演者の顔ぶれが30年も不変の番組が今も続いているということは、放送開始からの固定ファンで番組が維持されているのではないか。
街中に貼られる宣伝ポスターやテレビCMにも、「おお、まだ第一線でやっていたか」と唸ってしまう中年以上のタレントが、イメージキャラクターとして採用されるケースが目に付く。
人気稼業の芸能界ですら、上の世代からの順番待ちの列ができており、実業界や政界では若年層はお呼びですらない。大きな仕事を経験するチャンスすら与えられていないのが日本社会の現状である。これでは、地方議会の高齢議員が既存勢力というだけで疎まれるのも無理もない。
不遇をかこった氷河期世代が社会の主役に押し出される頃には、世代人口がさらに少ないゆとり世代はポスト不足で溢れて、定年退職するまで満足なポジションを与えられないであろう。経済格差以上に機会の世代間格差は深刻である。

多くの有権者にとっては、ベテラン政治家の政治的判断が正しいか否かはどうでも良く、有力者が退かないことで若い世代が台頭できないことに、大きな不満を覚えているのである。その批判の理屈は幼稚であるが、実生活における市民の無力感を無視し続けた既存政党にツケが回ってきたと言わざるを得ない。

石丸に喝采を送ったのは若者だけではない

7月の都知事選で石丸に投票した選挙民の多くが、20代と30代と思われているが、上は60代まで満遍なく支持されていたので、予想を大きく上回る得票が実現したのである。

現在の中高年のうちで、かなり多くの割合の者が若い頃から選挙に無縁である。どんな政治家がいるかも知らなければ、候補者が掲げる政策を理解できない。彼らは石丸が放つキャッチフレーズに心を奪われた時に、立ち止まって比較検討する術を持っていなかったのである。

オールドメディアからネットに移動した大衆が抱く不満を石丸が掴んだ

やはりというか、都知事選後には一斉に政治評論家達が石丸を批判する論陣を張った。

石丸の危うさは、常日頃から政治に関心があれば容易に気づく。しかし、石丸の手法の粗を咎めて、付き従うように石丸を賞賛する者の見識の浅さを嘆くだけで良いものか。
石丸は都知事選のスローガンに「東京を動かそう」を掲げた。街頭演説の聴衆には政策を語らず、知人に拡散してほしいと頼んだ。これまでの政治に親しめなかった者達は、石丸の呼びかけに応えて一肌脱ぐことで、呼び掛けに応じた者同士の連帯感に浸ったのである。
私は石丸の政治姿勢も政策も全く評価しない。しかし、石丸は既存の政治家のように投票を乞うのではなく、参加と支持表明の拡散を呼びかけたのである。その戦術は見事に当たったし、これまでの選挙の戦い方に欠けていたものを示したといえる。

政治家の具体名を挙げて語る大切さ

石丸の台頭は、政治について語る際に「政治家なんて一人残らずろくなもんじゃない」と、多くの人が雑な批判を繰り返したことが遠因となっている。これは知的怠惰のなせる業である。冷静に考えたらすべての政治家が堕落しているなんてことがあるわけがなく、自分がまっとうな政治家を見つけようとしてこなかったのを認めたくないだけである。
石丸の宿敵として挙げた岡田は、経験は浅いが情熱もあり穏当な政治家である。

石丸と同じ日に市長に就任した「双子の市長」がもう一人いることを、もっと多くの人が知っていたら、今回の都知事選はこれほどエンタメ化の様相を示さずに済んだであろう。


次回は、石丸信者の脱洗脳について語る。

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