石丸伸二が直接対決を恐れる宿敵 第6回 ~知られざる石丸の失態~
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番外編①
三原市長選挙は現職の岡田吉弘が再選
7月28日に投開票された三原市長選挙は、現職の岡田吉弘が、新人2人の挑戦を退けて圧勝した。
岡田は、全体の3分の2を超える得票率67.282%と前回よりも上積みしたものの、この選挙に対する市民の関心は低く、投票率は前回を7ポイントあまり下回った。
しかし、この結果は順当と言える。2期目は現職が圧倒的に有利であり、事実上の信任投票に近い。めぼしい対立候補がいなければ、市民の関心が薄いのも致し方ない。
産廃は流入、汚染水と人口は流出
三原市本郷町の産業廃棄物安定型最終処分場をめぐって、近隣住民は広島県に許可を取り消すよう求めて反対運動を起こした。
この処分場の一帯は、住民があえて井戸水を使用するほどに良質な水源地であったのに、ひと目でわかるほどに汚染された水が流れ出している。
広島地裁は県に対して最終処分場の許可取り消しを命じた。
岡田は市長として広島県の顔色を窺うことなく、住民の安全が確保される処理を訴えていかねばならない。
急激な人口減少に悩む広島県であるが、かつての10万人都市三原も例外ではない。さらに、三原市は中山間地域や離島を擁しており、人口が少ない地域住民への配慮も必要とされる。岡田は重工業依存の産業形態からITやデジタル活用に移行する方針を打ち出しながらも、「誰一人取り残さない」と明言しているが、財政を建て直しながら人口流出を食い止めるのは至難の業である。また、高齢化が進行する中であらゆる立場の住民を包摂しながらの、難しい舵取りを余儀なくされる。
石丸による安芸高田市政を振り返る
現在の石丸は首長経験者であるが、それだけで政治能力があると判断してしまった人が多い。実際には安芸高田市長としての4年足らずの間に、どのような市政が執り行われてきたかをつぶさに見る必要がある。
「恥を知れ!恥を!」
2020年9月25日、石丸は旧Twitter上で、一般質問の時間において市議の武岡隆文が、いびきをかいて寝ていたと投稿した。
実はこの時に石丸は、「恥を知れ!恥を!」という言葉の後に、「という声が上がってもおかしくないと思います」と発言し、市民に下駄を預ける体をとっている。
この発言が大きく報じられて、石丸と議会の対立が注目されるきっかけとなった。
市議会は市長が率いる執行部の傘下にあるわけではなく、執行部を監視する役割を担う。市長は二元代表制の片翼である議会を統べる権限を有しない。議会に出席した者を注意するのは議長の役目なのである。
2人目副市長公募
安芸高田市は、平成の大合併による助役の事務負担を軽減するために、副市長を2名置くことにした。
あくまでも暫定的な措置なので、副市長を2名置かなければならないという条例ではない。
現に石丸の就任前は、市長選で石丸が破った竹本峰昭が一人で副市長を務めていた。
上記で質問した熊高議員とは、石丸の退任後に執り行われた市長選に出馬するも、次点に終わった熊高昌三である。
この熊高の質問後に、誰も副市長2人制に疑義を挟まなかったことによって、さらに面倒なことが起きる。
副市長の米村公男と話し合った結果なのか、2人目の副市長は公募されることとなった。
しかし、議会は内定した女性を2人目の副市長に推薦する石丸の提案を否決した。
副市長に内定していたのは、実に魅力あふれる女性であった。
政治経験がない新人市長を補佐するのが、政治経験がない応募者というのは、人口規模が小さい当市にあって財政緊縮を訴える石丸の主張とは大きく矛盾しているではないか。その後は、議会提案により副市長の定員が1名になり、この騒ぎは終わったかに見えた。
議員定数半減案
2人目の副市長を迎えることが叶わなかった報復として、石丸は議員定数を16から8へと半数に減らす提案をしたが、議会は否決した。
ちなみに、合併発足後の安芸高田市は、合併前の各町を併せた議員定数72から順次定数削減を続けている。
無印良品出店専決処分不承認
「道の駅 三矢の里あきたかた」に「無印良品」店舗を誘致する計画における設計調査費を、石丸は議会に諮ることなく専決処分したが、議会はこれを不承認とした。専決処分とは、首長が提案を議会での審議を経ずに、独断で執行することである。
この件については改めて詳しく述べる。
選挙ポスター代金未払い訴訟
石丸は妹が勤務する印刷業者に安芸高田市長選の選挙ポスター製作を依頼したが、納品後も公費負担分を除いた残金の支払いを拒否した。印刷業者は石丸を訴えた。
これについても、今後の回で詳しく述べる。
恫喝名誉毀損訴訟
居眠りを非難するツイートについて、安芸高田市議会は全員協議会にて、石丸から意見を聴取した。この席上で市議の山根温子から恫喝されたと、石丸はツイートした。
恫喝はなかったとして、山根は石丸と安芸高田市を相手取って名誉毀損民事賠償訴訟を起こした。
こちらも以降に詳しく述べていく。
居眠り事件の真実
居眠り事件が全国に知られるようになったのは、このスピーチがきっかけであった。
議員の居眠りを公然と非難することが正義とは私には思えないが、世の中にはこれに快哉を叫ぶ向きも少なくなかった。
事もあろうに、石丸は武岡が診断書を黒塗りして改竄した「私文書偽造」であると吹聴したのである。
武岡隆文さんは石丸在任中に病死された。心よりご冥福をお祈りする。
名誉毀損訴訟にまで発展し、渦中の議員が病死したというのに、依然として石丸を英雄視する向きがあるのは、意図的に作られた虚像と言えまいか。
都知事選出馬に伴う退任、その後
「悪いことばかり書きやがって」という批判が聞こえてきそうであるが、これだけの失政を重ねておきながら、「良い点も考慮しろ」と言われても一考に値しないのである。不公平を避けるべく、石丸の功績とされる施策については、改めて詳しく述べることにしよう。
兎にも角にも、石丸は1期を勤め上げることもなく、都知事選出馬のために任期満了を迎えずに退任した。
都知事選のウラで執行された安芸高田市長選挙
7月7日の都知事選では、石丸が蓮舫を上回る票を得て湧き立った。私はそれと同時に開票が始まった安芸高田市長選挙に注目していた。この選挙は、石丸が都知事選出馬のために1期目の任期満了を迎えずに退任したために執行されたものである。
前述の唯一と言える石丸派の熊高昌三を含む4人の新人候補が争ったが、石丸市政の見直しを訴える新人の藤本悦志が当選した。
就任後に藤本は、安芸高田市議会の切り抜き動画を、場合によっては削除要請するとした。
なぜよく知らない政治家に投票してしまうのか
急遽安芸高田市長選への立候補を決断し、勤務先を退職して故郷に戻った青年に胸のすく思いをするのは、私にも理解できる。ましてや、河合夫妻選挙違反事件絡みの辞職を受けての選挙である。しかし、つい先月まで会社員であった石丸は、いつ政治を学んだのであろうか。辞職した市長と関係が深い対立候補に入れたくない感情を考慮しても、市民が軽率に未知数の青年に期待してしまったことは否めないであろう。
また、都知事選で石丸に投票した人達の多くが、立候補が表明されてから初めて石丸を知ったと語る。世の中にはNHK受信料を支払いたくない人が一定数いる。立花孝志がどのような人物かを見極めないままに、受信料を支払わなくても良くなるなら、ここは一つ応援しようと早合点したのに似ている。しかし、立花が起こした数々の騒動は、結果的に受信料徴収の法的根拠を補強しただけであった。
石丸がついこの前まで安芸高田市長を務めたことは、多くの人が知っているはずだ。実際に安芸高田市では、石丸がどのような采配を振るったかは気にならないものか。
現実を見よ
都知事選で大躍進して全国的な話題になった石丸であるが、安芸高田市長は退任して東京都知事選に落選したことに変わりはなく、現在は浪人の身である。
しかも、石丸市政の見直しを訴える藤本悦志が当選した事実は、安芸高田市民が石丸市政にNOを突きつけたに等しい。
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