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◆コスモナウト

グラスの先の向こう

指先で弾けばリーンと鳴るかもと思うと、今するには勿体ないんじゃないかと自問自答してる時間に、たぶん昔からこんな事を感じては、溢れんばかりの長い人生を生きるのに、誰も居ないカウンターに久しく使われていないグラスに光の反射を眺めながら、何かが起こりそうで期待もしてるんだけど、いつも通りの時間しか知らないと思うと飽きて来たと勝手にストーリーを書いてみては、いつか君に話そうかと大層なものぐさに、詰まらない人生なんだと嘆いてみても、名画の主人公にでもなったつもり…なのか

優しい光は届かない。

少し高めのストゥールに前半分だけ座りながら、日は暮れて星空しか見えないこの時間は、もう生きるものはスヤスヤの夢の中と言う、もう一つの自分を費やす事に想いと感傷にふけるのも良いと神に許しを得られたかのような、そんな言い訳をしてみては傷ついた体に癒しになればと偶像を作り上げたのも良しとしよう。つまんない男と言われるのはもう慣れっこのオヤジの頃と知ってるさ…知ってたさ…嫌なほど…。

そう、それは夢というもの

輝くというものは、それは嬉しいことなのか。それは楽しいことなのか。単なる誰かからの思い過ごしなのか。わかんない。星の瞬きは一瞬のように感じると言い訳してみては、何年何十年と長い時間に過ぎた星の光の満ち引きと、遠い遠い空との空間の間に通り過ぎた他の時の流れ交差して、すれ違ったその横顔…一瞬…綺麗…また消えては暗くも帳は終わりに。知っていたことだと言葉にしてみても、それで静まれば思い出に出来ますか?なんて誰に話すこともなく、また一つ。空高く輝く星が語りとして増えたのは、それはそれで、ちょっとだけ強く成れたなら、またここに帰ってくれる理由にしても良いですか。

心の瞬きは出逢いなのか

ゆっくりとゆっくりと、そして過ぎてゆくのは刹那も感じたこの夜に、昔から少しも変わっていないと知ってても言わないのは我慢じゃなくて自負でもなくて自分でもなくて…。ねぇ、そこに居るのは貴方でしょ。いつもそばに居ては遠くでもあり、出会っていないのに別れたくないと思うのは、始まっていない時は終われない時との矛盾さえ凌駕してるのに…もういっぱいの思い出で、一つ一つと懐かしむには残りの人生を語るには十分過ぎるくらいの話になりそうだ。

触れられない手で心を触れる

秋の夜長に星を眺めては、何が変わるわけでもないときを過ごし、そっと息をひそめて耳を傾けても、思い描く貴女の寂しさや悲しみに辛く耐える言葉が聞こえて来るわけじゃないし、そんなの俺の出る幕じゃないなんて知ってるし分かってるし、思ったりするのは、やり切れない事も分かってるけど、このグラスを通して見る夜空は、いくら覗いても探しても思い描く星なんて無く、真っ暗闇の孤独しか見えない。


太陽の烏は、月の兎に何を思う。

見上げた宇宙のコスモナウト

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