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黄昏通信 Vol.22
そっと開けた蓋の奥には・・・
いつ見ても飽きぬ光は黒なのか透明なのか、特に惑わされるわけでもなく、僕の目にはその光に映る僕の顔とその眼差しが・・・君を求め求められた、そんな宝物。
大人の目には、ただの川岸に落ちている・・・ただの石ころ。
あの僕達は、時逃れる世界が、まるで大人が動かす飛行船の上の物語で出来ていて、舵の導く先には決められた道が導く羅針盤。
あの頃の、ぼくの機密基地は、どうなったのかな
こんばんは、ろどです。
今日の夕暮れ近く、マンションの片隅の非常階段で、幼い子供達が肩を寄り添っては何やら話す声が聞こえてきました。きっと彼らは彼らなりの世界を作っては熱く語り、それを聴いては自分の夢と重なり合わせては自分も熱くなってる、そんな、秘密会議なんだろうな。
あの頃の僕は、
あそこに居たんだ
あの場所の
ぼくらの秘密基地
川に掛かる大きな橋の下の裏側
少し暗いけど僕らで作った秘密基地
ダンボールのドアと壁
持ち寄りあった漫画本
親には内緒の花火のピストル
お菓子の缶にはビー玉とメンコ
熱く語ったスーパーカー消しゴム
コーラのおまけのヨーヨー
みんなみんな、大切な基地の道具
学校が終われば走って帰り
カバンを投げて遊びに出かける
仲間達は少しでも早く長く
あの場所での時間を過ごす為
競い合ってた、あの頃
出逢った頃の春の風に押されるかの様に、何も言わずとも集まり寄り添った俺達。暗黙の了解なんて無かったのに一つ一つと増え続け、それはまるで、宇宙警備隊すら顔負けの暗号さえ、なん迷いもなく、そして友との絆の架け橋として言い当てる事さえ容易な俺達だった。
アイコンタクトで走り出し、駆け寄る女子さえ、俺達の聖域だと言わんばかりに秘密にしてきた。
あの頃の僕達は、わずか半径5mの世界の中心にいて、そして全てを動かす。俺達の地球号。
パチンコ作って鳩を追い回し
草笛の音の大きさを競い
拾った大人の本に狂喜乱舞して
好きな子の名前を言い合ったり
先生の物真似で笑ったり
親には秘密のテストを隠し
暗くなるまで遊んだあの頃
僕らの秘密基地
まだ、残ってるかい
きっと、残ってるかな
俺達の心の中に。
あの日拾った瑠璃色の石。
黄昏の夕日を背に受けて、
僕らは、あの場所で、時を生きていた。
いつか帰りたい、自分の時間に。黄昏通信。