黄昏通信 Vol.15
あの丘へ行こう
山の裾野の小高い場所に
その丘が有り、
遥か幼い自分とその記憶の
秘密の場所ででもあり
動けない居場所なのか
もう僕の記憶は
そこに居続けている
望む先には壁をなすかの
山脈が横たわり
何かから守るかのように
両手を広げる抱擁
きっと貴女の胸の中に
まるで子供をあやす様
僕はそれを望み抱き
そして眠るだけの刹那
夏の日の一夜の
なんでもない今夜
人には色々な時が流れ
そして生きて過ぎて行く
出逢う事も無い
他愛も無いこの世界に
ふと足を留めて流れる
言葉に耳を向ける先に
きっと僕は長い月日の
1秒だけで繋がったと
思いながら、そっと
筆を走らせています。
お元気ですか。
今日も暑いですね。
夏休みは無いけど
土日に帰郷するかも
なんて計画中。
そんな思いの故郷に
置き忘れた、あの場所に
また逢えたら幸せです。
眼下には街並みと
幾千もの道が絡み
行く手を遮るかの
道しるべとて悲観
有るべき人生へは
歩く足と手と貴女
風が気持ち良いんだ、
少し長めの草が茂り
寝そべりながら聴く
自然の音を懐かしむ
風の草の木の音
空の緑の蒼の光
膝を抱えて過ごした
学生時代。
休みの日の陽が高い
何も無いあの日。
あの丘へ行こう。
何も要らない
行くだけでいい
そこにはきっと
待ってるはず
あの日とあの記憶
忘れられぬ言えぬ
刻まれたアルバムは
僕のあの日の僕。
ただいま。
今夜は少しだけ
メランコリック
綴る貴女へ黄昏通信。