手負いのクマと珍獣
以前の記事で、私が学校に要望を伝えたと書いたら「そんなことしても先生は変わらないんじゃない?」とか「子供が浮いてしまうんじゃない?」と、心配してくださる方々がいらした。
たぶん、それは一般的な考え方なのだろうと思う。
私が学校に対してしたことは
1、 キンドル禁止と言われたので、要望書を持って説明に行った
2、 担任の先生に、オンライン授業開催を要請をするメールを送った
もうこれだけで、伝統ある私立校においては珍獣のような保護者と思われるかもしれないが、言うべきことは言わなければと、しっかりと伝えさせていただいた。
結果、先生からはオンライン授業開始のお電話を頂いた。これは、私のメールが効いたというだけでもないだろうが、とにかく開始されるならば、あんなに悩んで書いた甲斐があろうというものだ。
ちなみにその電話で私は、「先生、こんなこと言うの余計なお世話かもしれませんが、Zoomの最新セキュリティ対策では、参加者を待機室に待たせて確認してから入室させ、その後はミーティングをロックすることも出来るんですよ。あと、少人数でなくクラス全員一緒にやるなら、最初は全員ミュートにしておかないと、先生が大変かもしれませんね。」と、ついまたお節介なことを言ってしまった。
でも先生はとても良い方で、「ロック?そんなことも出来るんですね!ミュート?あ、そうですね。教えていただいてありがたいです。」と気持ちよくおっしゃってくださった。どうやら先生も初めてお使いになるようだったので、余計なこととは思ったけれど、お伝えして良かったと思う。
今回私は、入学早々学校への要望を伝えるという難しいことをしたわけだが、要望を我慢して引っ込めるのは健康的なやり方ではないと思う。
でも、要望を伝える本当の目的は、相手をやり込めることやなじることではなく、より良いシステムに改善してもらうことなのだから、問題定義、提案、解決型でないといけないとも思う。
日本人にありがちなのは、相手をおもんばかって最大限我慢してしまい、我慢の限界がくると爆発していきなりキレてしまうというパターンではないだろうか。しかもメールなどのオンライン上では、面と向かってものを言わない分だけ言葉のトゲが鋭くなりがちだ。
保護者が何か意見や要望を言うと、さっと鎧を身に纏い、全身に緊張感が走るのが目に見えるような先生がいらっしゃると思うのは、私だけだろうか?
学校は、いつからこんな風にコミュニケーションがとりにくい場所になってしまったのかと思うが、そこに行き着くまでには、いきなり爆発したモンスター級の保護者からのトゲで、たくさん傷ついてきた先生方の歴史もあるのかもしれない。
だから私は、先生方に接する時は、鎧で防御している手負いのクマに接するように接してきた、と言ったら「失礼な!」とお叱りを受けるだろうか?「こちらには、あなたを傷つける意図はありません、ただ学校をより良いものにしたいのです。私はあなたに心を開いています。」という気持ちで、真摯に要望をお伝えしてきたつもりだ。
コミュニケーションにおいて、伝え方がかなりのウエイトを占めるというのは本当だと思う。何を言っても、その根底に相手ではなくてシステムをより良いものに変えたいという思いあれば伝わりやすいと思うし、トゲのある言い方ではなく親愛を込めてフラットに伝えれば良いのだと思う。
子供たちが人生のかなりの時間を過ごす学校という場が、風通し良くコミュニケーションの取れるところであって欲しいと思う。保護者としては、先生方に心を開いて丁寧に接するようにしたいし、先生方は保護者を恐れないで欲しい。そして願わくば、要望を伝える保護者を珍獣扱いしないで欲しいとも思う。
こわごわでもいいから、お互いに手を差し出して良い関係を築いていきたいと思う。だって、毎日手負いのクマや珍獣に囲まれているだなんて、子供たちがあまりにもかわいそうだもの・・・ね。
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