統合失調症打ち子の話

数年前のことになる。うちのパチンコグループに高橋という巨漢ボウズの若い打ち子が入ってきた。

勤務態度は悪くなかったが、打っている台に関しては「これはこうなんだ」とオカルト内容の持論を持っていた。

(なんだこれ?「見えていないものが見えている感覚」で話してくる感じがあるな)

というのは薄々感じていた。

そして高橋は
「店員がインカムで俺の悪口を言ってくるッス」
と言い出した。

「いや、悪いことしてないのにわざわざ客の悪口言わないでしょ」

と伝えても、後日も「悪口を言っている」と主張していた。明らかに遠方にいる店員の小声のインカムが聞こえるわけがないのに。

ここで、やっと
「高橋は統合失調症なんだ」
ということが分かった。

最近noteのネタにしているタヌキも
「FX、FX!」
と言っているが、そういえば高橋も
「打ち子して借金が返せたら今度こそFXで…」
と目をギラつかせていたのを思い出した。

当時の俺は(今もだが)FXをやったことがなかったので詳しくもなかったし
「またチャレンジするのね。たぶん無理だろうけど」
くらいにしか思っていなかったが、統合失調症の人はFXに走りやすいのかもしれない。

ちなみに高橋はその幻覚や幻聴でやめたような気がするが、1年後くらいに他店で打っているということを聞いたので、変わらずパチンコはやっているのだろう。高橋に幸あれ。

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高橋もそうだが、打ち子みたいな単純に台を打つだけの仕事ですら、台を疑ったり幻聴が聞こえるようでは、まともな仕事はできないだろう。

タヌキも「後輩たちが悪口を言っているッ!」などとツイートしていたが、おそらく幻聴。だって家に帰るとゴキブリの大群や大きな蜘蛛が現れて、その後パッと消えるくらいだから。

まともに仕事ができないから貧乏になる。コミュニケーションがとれないからギャンブルに走る。そして、ギャンブルに対して「間違えた先入観」が強すぎるから負ける。

さらに統合失調症患者は、躁鬱(気分の上下が激しい)やパニック障害などの精神疾患も併発することが多いらしい。

「俺にはできる」「この方法がある」と思えてきて、しかも人と関わらなくていい。さらにFXはレバレッジも相当かけて大金を動かした気になれる。

統合失調症の人がFXの相場をどう思い込もうが、世間と違って「君あたまおかしいよ、病院いったら?」とは言わない。相場はとても優しい。幻覚や幻聴、思い込みでさえ全てに反論せずに受け入れてくれる。

行き場のなくなった精神疾患患者の最期の楽園、それがFXなのかもしれない。


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