身体操作 Re-Vive 7 〜Omoplata〜
Re-Viveで行う身体操作の基礎。6つ目はomoplata。omoplataはポルトガル語で「肩甲骨」。つまり、肩甲骨を自由に操ろう!というお話です。まずは、肩甲骨の動きを重視する理由について進化史から紐解いてみて、具体的なトレーニング方法へと進んでいきましょう!
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進化史から見る肩甲骨の機能的重要性
四つ足動物進化の歴史では、体幹を持ち上げて移動するために体を支える支柱(前肢と後肢)が必要だったため、前肢において肩甲骨は筋肉の起始部として大きな役割を担ってきました。また、走ることに適応するために前肢の近位部では肩甲骨が長くなり、前肢の機能的な部分となってきました。4つ足動物が移動する際、鎖骨は前肢を前後に動かす上で少々邪魔になる傾向もあり、走行性動物では鎖骨は全体的に退化傾向にあったようです。
胸骨と肩甲骨をつなぐ鎖骨の肩峰端は、胸鎖関節を中心に回転する軸を持つ弧の軌跡を描き、水平成分を生成するため、鎖骨の存在は肩甲骨が矢状方向に往復しようとする障害となる。その結果、鎖骨は最初に両方の関節端から減少し始め、その機能を放棄し、そして胸骨と肩甲骨をつなぐ腱のなかに埋没する形となる(Inuzuka 1992)
ところが、樹に登ったりぶら下がったりする3次元空間で生活する猿の仲間は、いろんな方向へ前肢(上肢)を動かすためにより強固な体幹との結びつきを必要とし、鎖骨がその役割を担ってきたと言われています。では、鎖骨の役割を強化して上肢とし用いてきた樹上生活者たちは、なぜ肩甲骨が退化しなかったのでしょうか。一つには、前肢(上肢)に走行する筋の起始を提供するため、もう一つは肩甲上腕関節を形成するため、と考えられているようです。
4つ足動物において鎖骨が退化する理由には、移動においてその存在が不利に働く点がありましたが、鎖骨が発達している動物において肩甲骨が生存戦略を脅かす存在とはならず、退化することなくその役割を継続して担う形になっているようです。肩甲骨は、ご存知のように肩鎖関節を介して体軸とつながるのみで、その全方位を筋肉が覆う形で胸壁上に存在しています。
肩甲骨は鎖骨を介して体軸と連結するのみで、その周囲を筋に囲まれて胸壁上に浮いている。
より多方向への運動を実現し、力強く動かすためには、肩甲骨は自由に多方向へ力強く動かせる必要があるということが言えると思います。上肢の機能を発揮しようとする時、肩甲骨の安定や位置は非常に重要。伸ばした手を引きつけるために働く棘下筋、腕を上方(前方)へ振り戻す時に重要な棘上筋、いずれも肩甲骨を起始にして上腕骨を動かしています。これらの筋を機能的に働かすためには、肩甲骨は適切な位置で安定する必要もあるわけです。つまり、安定と運動の両方を担う肩甲骨を自由自在に操ることは、スポーツパフォーマンスを向上させるために大変重要なものであると言わざるを得ないですね(^ ^)
肩甲骨を操作するトレーニング
肩甲骨と上肢を別々で考えることはできない。だから肩甲骨周囲を単独でトレーニングするということはあまりせず、上肢を動かす上で必要な肩甲骨の可動性や肩甲骨の安定性にスポットをあててトレーニングを実施しています。
肩甲骨をしっかり動かせるようになるためには、まず肩甲骨をしっかり認識しなければなりません。そのためには手からの感覚入力が重要な手がかりとなります。上肢、とりわけ肩甲骨主体の運動を強化していく時には、手をついて動くことが多く、この感覚がとても大事になりますので、まずはそこからトレーニングを始めていきましょう。それでは具体的なトレーニング内容をご覧ください。
※「身体操作」=体を操ることに焦点をあてたトレーニングを、理論的背景を踏まえて構成しています。単なる筋力トレーニングと異なりますので、○○筋を使う、鍛える、意識する、といった具合のトレーニングは実施しません。あらかじめご了承の上ご覧になってください(^ ^)
手の感覚入力
Shoulder mobility
Figure 8
Scapular grid
Scapular circle
Hand balance
回旋系運動
立甲
立甲については以前に平山トレーナーがRevive channelで詳しく説明してくれていますので、そちらも併せてご覧ください。
いかがでしたでしょうか。「肩甲骨を動かす」と一言で言っても、操れるようになるには相応の時間がかかります。しかし、一度動かす感覚を手に入れると、パフォーマンスに大きな改善が見られるようになりますし、肩の痛みで悩んだりすることも少なくなっていきます。
ぜひ、楽しく取り組んでみてくださいね!
最後までご覧いただき、ありがとうございました!!
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