【ネタバレ】サメと泳ぐ
舞台「サメと泳ぐ」を見てきました。あんまりまとまらないけど、あらすじと感想みたいなものを。
バディ:田中哲司、ガイ:田中圭、ドーン:野波麻帆
ハリウッド映画の制作現場での人間模様。会社のナンバー3の一人であるバディの元にアシスタントとして脚本家志望のガイがやってきます。バディはパワハラ上司そのもの。ガイの人間性を否定し、暴力をふるいます。そんな中、ガイはバディと旧知の中である映画プロデューサーの女性ドーンと出会い、恋をします。女好きのバディはドーンにもご執心な様子です。ある日、上司に方向性を変えなければ出世はないと告げられたバディは、ドーンの企画を出世に利用できるかもしれないと気付き、ガイをけしかけて、ドーンから企画を奪おうとします。ガイは見事に踊らされます。名誉に目がくらみ、ドーンが嫌がった脚本の改変を自ら施し、バディには称賛されました。しかし、ドーンはその企画から手を引き、ガイに別れを告げます。ドーンを諦め、名誉をとったガイでしたが、バディにその名誉も与えないと告げられます。ガイはドーンにやり直そうと持ちかけますが、拒絶されます。ガイは逆上して、真夜中の職場でバディに銃を突きつけます。ガイはバディに謝れと拷問を続けますが、バディは一向に折れる気配はなく、映画みたいな恋愛なんてない、ドーンはお前を利用しようとしただけだと叫び続けます。そこへドーンが現れます。ガイはドーンがバディと関係を持っていたのでないかと猜疑心でいっぱいです。ドーンもガイが行った脚本の改変をなかったことにして別の人物に任せると言い出します。バディに「本当に欲しいものはなんだ?」と問いかけられ、ガイが銃で撃った相手は...。ここで暗転し、物語は日常へ。そこで語られたのは「バディに振られた女性が会社に乗り込んできて、バディを拷問しているところへガイがたまたまやってきて、銃で撃った」という話。その結果、ガイは会社のナンバー3に出世しています。部下が「俺も元カノ撃ってみたいな」と言うのに、静かに笑っています。そして、どうやらその上司がバディ。バディは望みの物を手に入れたようですが、ガイは果たして。
鬼畜だけど、どこか憎めないバディ。優秀そうだけどどこにでもいそうなガイ。男性社会で生き抜こうともがく女性ドーン。それぞれの野心が交差して、そして、結果、バディが勝利したように見えます。ガイにとっても勝利なのか、それとも敗北なのか。
バディは出世もガイも手に入れたんだなと思いました。ガイがバディを拷問しているシーンはラブシーンのようにも見える。バディとガイの愛の物語だったんだろうかと思ったりもします。まぁ、バディはドーンも欲しかったんだろうけど。んー...やっぱ、わからない!(笑)
最初、ガイはどこにでもいそうな輪郭のはっきりしない青年です。安っぽいスーツ着てるし。靴もくたびれた感じ。で、最初に仕事を命じられた時に、ジャケット脱いで、腕まくりをするんですけど、これがとてつもなく色気があってずっと見ていたかった。白い透き通る肌にしっかりついた筋肉、浮かび上がる血管。いやもう、圭くんの魅力チラ見せ、すばらしい。
ドーンに企画をバディに持ち込まないかと誘うあたりから野心がにおい始めます。最初、前髪を下ろしているんだけど、このシーンの後から前髪をあげるんでぐっとイメージ変わりますよね。ここからボタンは留めてないけど、ベストも着てます。靴も高そうな革靴に変わってました。友達にも偉そうだし。冒頭のおどおどした感じはどっかいってます。ほんと、圭くん、うまいなぁ。
パーカー着てバディに銃を突き付けてる時の狂気と色気もたまりません。最初はフードをすっぽりかぶってるんだけど、それがまた狂気を強調しているようで。フードをバサッと脱ぐのもいいですね。ガイがバディにする拷問は紙で顔を切るって微妙なものから始まって、最終的には砂糖入りの沸騰したてのお湯を足にかけてました。砂糖が入ってるのは、最初にバディに叱責されたのが砂糖のことだったからなんですが。なんというか、見ていてギリギリ耐えられる程度の拷問って印象でした。
ラストシーンでは、ベストのボタンをはめ、上着を羽織り、黒いネクタイをしめます。この一連の動作も美しすぎるー!!!そして、その愁いを帯びた顔。部下ができ、その部下に自分が最初に言われたアドバイスとは少しずれたことを言っていました。「自分のためだけに働け。本当に欲しいものは何か考えろ」と。部下は「まだわからないなぁ」と答え、ガイも「俺もだよ」と返していました。バディのもとでバディとは違う選択肢を選んでいこうとしているようにも、同じ道を歩こうとしているようにも見えました。
誰も本当のことなんか言っていないと思わせることばかり。バディは言わずもがな、ドーンの本当の気持ちも最後まで全く見えてきませんでしたね。愛はそこにあったのか?いや、そもそも愛なんて存在しないんですかね。
一番気になったのはバディの過去についてです。バディは自分の子供(トーマス)が殺されたと口にし、直後嘘だよと笑います。上司と妻がひどい目にあったという会話もしていました。そして、妻はレイプの末に殺されたと語ります。けれど、ラストシーンで、「彼女が会いに来ているから、いい雰囲気のレストランを予約しろ」とガイに依頼します。そして、「女房ってものは、元旦那にどれだけひどい目にあって地の果てへ逃げていても、大けがをしたと聞くと全部許して飛んでくるもんさ」と。どこからどこまでが真実なのか。
笑いが起きるシーンも各所に組み込まれてたし、3時間集中してみていたんだから面白かったんだと思いますが、見て爽快!ってお芝居でないことだけは確かです(苦笑)
バディ=相棒、ガイ=男、ドーン=夜明け、で、あってるのかな。
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