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ルパン三世 2ndの美しさⅡ OPの構図


2ndの美はOPに凝縮されている
後のミュージックビデオの先駆けとなるような、音楽に合わせたカット割り、流れるようなシーン展開

当時のアニメーションの技術で最大限の表現を駆使しているのでは?
曲に合わせてここまで感覚的に動く映像は、アニメーションだけでなく映画の世界でもこの時代まだ新しかったのでは?

五線譜のように横に流れる楽譜のようなボーダーラインに
まるで音符のように上から下へ、下から上へ、斜めへと
縦横無尽に動く人物カットの移動

ルパンをイメージして作られた大野さんの音楽が、今度は作画にも影響を与えフィードバックされている
2ndの軽快さは声優にも影響を与えていて、ルパンの山田節は1stよりも2ndで開花する

この時代の才気溢れたクリエイターたちが互いに刺激し合いながら、ルパン三世の世界を構築し、揺るぎない世界観を築き上げることに大成功した



不二子の曲線美が圧倒的な画



これもラインがシンメトリーに対比している
北原さんの不二子が美しいのは、頭、肩、腕、足、胸、尻、指、つま先、耳、鼻など体の各部の先端の点と、ボディラインの線が交差してるから。

点と点を結んでいるようでもあり、線の上に点を置いているようでもある。
となると、後は線を動かせば人物がくるくる回るように動くので滑らかで無駄のない魅力的な動きが生まれる。

なのでパーツの先端が極端に誇張されている(頭頂、胸、尻、指)
ラインを取りやすいように

まるで楽譜のように整ったボディの線と、音符のように強調されたパーツの先端の点

2ndは大野さんのジャジーな音楽とシンクロするように、キャラデザの強弱が強くリズミカル



本当に2ndのOPは芸術作品のように完璧
海外のアートフィルムとかのコンペに出してもいいくらい
大きくデフォルメされたルパンの手はまるでロートレックの絵画のよう

極端にデフォルメされたルパンの右手と大きく下がった右肩と口元
反対に極端にせり上がった左肩

コントラストの強い色彩はスポットライトを浴びているよう
ライトの光がないのにカラーリングと影だけで強い光を表現している
警戒をくぐり抜き、闇夜に動くルパンたちの活動をうまく表してる


ルパンの怪訝な表情と大きな手と長い指先
これらがルパンの用心深い性格と、職人のような器用さを表している

人物の性格がたった一枚の画でわかる
人物紹介のOPならではの秀逸な一枚


ちょっとわかりにくいかもしれないけど、人物の先端を結ぶと平行に交わるラインが出来上がる。構図が浮かび上がり、ポジションやアングルが偶然ではないことがわかる。

北原さんのキャラクターデザインが極端にデフォルメされたりカリカチュアされているのに歪みや崩れがなく、むしろとてもリズミカルで伸びやかなのは、幾何学的な構図がベースにあるから。破綻がない。

この構図を無視すると、手足が長すぎたりバランスが悪くなったりする。ロボットのように不自然になったり、パート3みたいにデフォルメし過ぎて歪みが生じてしまう。いわゆるデッサン狂い。


手前にあるルパンの右手はたとえ手前にあるとしても、実際はこんなに大きくはないはず。魚眼レンズのように手前の手が極度に大きくデフォルメされているのは、構図のパターンに収めるためでもある。

本来ならデッサン崩れするほどの大きな手が錯覚によって不自然に見えないのは、バランスよく構図の一部に収まっているから。逆に実際の大きさに合わせてこれより手を小さくしてしまったら、構図に合わせてポジショニングされているその他すべてのラインのバランスが崩れてしまう。計算されたデフォルメが台無しになってしまう。


2ndのOPは、今見ても斬新で完成度が高い。アニメの歴史に残る傑作。ジブリばかりでなくもう少し評価されてもいいと思うのだけど(笑)


中々これだけスタイリッシュにうまく描ける人はいない。ルパンの海外での人気は2ndによって広まったというけど、舞台が世界各地で登場人物がみんな外人顔なのも大きいと思う。特にゲストの女性は誰一人とても日本人には見えない(笑)



美しい不二子
2ndの人気は不二子のキャラデザの美しさに寄るところも大きいと思う

顔の彫りの深さを平らなアニメで表現するために、奥にある目は小さく描かれ極端に鼻に近い位置にある。寄り目気味


不二子のツンと尖った鼻のラインは、不二子のツンと尖った胸のラインと一緒(笑)
前髪の形もまるで大きな胸のよう

2ndの不二子はなぜか髪型も独特で原作とは違う
強調されたボリューミーな前髪は、豊かな胸の形に合わせているのかもしれない

不二子の胸の大きさが一番効果的に伝わるヘアスタイル

北原さんのキャラデザがまるでジャズのような軽快さがあるのは、体のラインとパーツがジャズのパターンのように繰り返されているのもあるかもしれない。もしこの不二子の前髪がペッタンコだったら(たまに変装であるけれど)、不二子の勝気な印象はもっと薄れたかもしれない。


いやらしく描いていないのにとてもセクシー
ルパンがむしゃぶりつきたくなるのもわかります(笑)

この美しさあってこその悪女不二子
悪女ぶりがどんどんエスカレートしたのも2ndから
罪ですな~

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