リモート授業
私は資格取得の為に4年程大学の通信教育課程を受講していた事がある。当時すでに就職していたので、平日の通学が不可能だったからだ。このコロナ禍によって通学できなくなり、オンライン授業に苦心する学生さんたちの呟きを見ていたら、当時のことを思い出した。通信教育の経験がない人にも大体想像がつくと思うが、孤独な作業になるリモート授業はモチベーションを保つ事が最大の課題である。もちろん先生方も苦労しているだろうが、定期的に準備を整えて学習に臨む学生たちも大変だ。ましてや小さな弟妹や要介護の人がいれば尚更だろう。
私たちの時は、スクーリングの時に連絡先を交換した近隣地帯に住む人たちと学習会をしたりしていた。家を出る事で環境が変わって集中しやすくなるし、レポート添削の愚痴を言ったり、分からないところを教えあったり。時には8割くらいお喋りで終わってしまったこともあるが、今にして思えば大切な時間だった。同じ苦労をしている仲間がいるというだけでも、結構救われるし、ストレス解消になる。
あともう一つ大切にしていたのは、自分なりに計画を立て、締め切りを設けてテンポよく学習を進めていくことだ。これを話すと「真面目ねえ」などと言われるが、とんでもない。猫より怠惰で鶏よりも物覚えが悪いので、これをしないと10年経ってもカリキュラムを修了できそうになかったのだ。毎日決まった時間に授業を聞く、毎月決まった日にレポートを出すなど、カレンダーに書いておかないと忘れる。ポイントは、楽にできそうなペースにしておく事である。最初は気合も入っているので、ついタイトなスケジュールにしてしまいがちだが、余程優秀な人でなければそれはおすすめしない。凡人は、自分の最大キャパの6割くらいに目標設定しておいた方がいいと思う。
偉そうにここまで綴ってきたが、実際に修了するまでには恐ろしく時間がかかったし、仕事との両立がうまくいかずに精神のバランスを崩してプチ引きこもり状態になった時期もあった。なんとか立ち直れたのは、当時実家暮らしで犬を飼っていた為に、生活習慣が崩れにくかったせいだ。いざという時に支えてくれる人の存在も重要。ただ、今回のリモート化はあまりにも突然だし、準備も環境も整っていない人が多いと思う。一番大事なのは、うまくいかない時に自分を責めないこと。ただでさえ不穏な世相なので、影響されてネガティブになる瞬間もあるだろうが、それは全部新型コロナウイルスのせいなのだ。辛いこともあったけれど、4年間頑張って資格を取ったことで、私は自分の生き方を拓けた。他の人の人生までは保証できないけれども、今学ぶ必要があると感じているのならば、どうか投げ出さずにいて欲しい。