もうずいぶん昔の話になるが、勤務先の近くの電柱に貼り紙が出た。油性マジックの手書き文字に、ビニールに入った写真が直接貼り付けられた、今時珍しいほどにアナログなものだ。そこにはこんなことが書かれていた。 「自宅の裏で子猫を3匹拾いました。とても可愛らしく、全部飼ってやりたいのですが、当方は老人の二人暮らしなので難しいです。どなたか最後まで面倒を見てくださる方にお譲りできればと考えています。●●までご連絡ください」 うろ覚えの要約なので、実際の文章とは違うが、だいたいこの
本当に今更だが、アリアスター監督の『ミッドサマー』を観てきた。公開から3ヶ月あまり。もう夏至である。夕方の回で観賞したが、映画館を出てもまだ日が高い。計算してみると、まさしく登場人物達がホルガ村に入った位の時期で、ある意味良いタイミングだったのかも知れない。 映画の感想を一言でいうと、実におぞましい映画だった。 前作の『ヘレディタリー』もそうだったが、この監督は本当に恐ろしいものを直接見せずに震え上がらせることに長けていると思う。今作では、影のない白夜の光景が、まさにそ
現在我が家で暮らすタマはもうすぐ18歳を迎える老猫だ。食事の時以外は大体寝ていて、もはやおもちゃに見向きもしない。この話を他人にすると、「長年飼ってきたのだから可愛いのでしょうね」と言われるが、実はそうでもない。実はタマが縁あってうちにやってきたのは去年。出会った時からすでにヨボヨボしていた。はじめのうちこそ「子猫の方が可愛かったかな」と思わなくもなかったが、今は初めての猫に老猫を選んで良かったと思っている。理由は主に3つ。 1 、生活習慣が確立している 野良猫だったりす
えらいことになった。緊急事態宣言が出てから早1ヶ月、いよいよ会議をしなければ決まらない案件が出てきたのだ。これまで「不要不急」の名の下に、様々な案件を棚ざらしにしてきた数ヶ月。それにもいよいよ火がついてきた。これだけ放っておけば仕方ない。ただ問題は、これが町内会の案件ということである。 職場であれば、仕事を通してある程度のIT機器やアプリは使っているし、チームの中で誰に気をつければいいのかは、なんとなく察しがつく。しかし、町内会である。年齢層は高いし、どの程度のスキルが
私は資格取得の為に4年程大学の通信教育課程を受講していた事がある。当時すでに就職していたので、平日の通学が不可能だったからだ。このコロナ禍によって通学できなくなり、オンライン授業に苦心する学生さんたちの呟きを見ていたら、当時のことを思い出した。通信教育の経験がない人にも大体想像がつくと思うが、孤独な作業になるリモート授業はモチベーションを保つ事が最大の課題である。もちろん先生方も苦労しているだろうが、定期的に準備を整えて学習に臨む学生たちも大変だ。ましてや小さな弟妹や要介護
昔、そこそこいいレストランで食事をした時に、「当店自慢のおすすめ料理です」と言ってちぎって洗っただけのキャベツを出されたことがある。なんでもこれが一番人気だとか。他の料理の立場は……と思わなくもなかったが、確かにキャベツは美味しかった。それに引き換え、家庭の料理は謎である。材料を洗う→○○切りで5ミリ幅に切る→下ごしらえ→アク抜き→**と一緒に炒める……etc 面倒臭い。プロがキャベツをちぎっただけでお金をとっているのに、なんで素人が毎日手間暇かけなきゃならないのか、全く
職場が業務停止になって約3週間、緊急事態宣言が出てから10日余りが過ぎた。私は観光地で売り子をしている。4月下旬ごろにはまた職場復帰できるつもりでいたのだが、甘かったようだ。本来、中国の春節がある2月から気候が良くなる5月までは稼ぎ時なので、今家にいるのは罪悪感がある。 新型コロナウイルス感染症が騒がれ始めてから3ヶ月。政府の記者会見では毎度毎度「今が正念場」「1ヶ月だけ頑張って」と言っているけれども、本当はそうじゃないことは皆わかっているんじゃないだろうか。特効薬もな
だいぶ間が空いてしまったけれども、2月分。作業していて意外だったのは、国家レベルでの動きが少なかった事。感染拡大速度は急速だったものの、実は各国ともに感染者数は大流行というほど増えてはいない。そのあたりは、日経ビジュアルデータのチャートを参照してほしい。日本でも2月上旬時点では海外渡航歴がある人が大半で、国内での相互感染はまだ明らかになっていない段階だった。中国本土以外で感染爆発が起こるのは、3月に入ってから。東京オリンピックが予定通りの開催予定になっていたのも、この数字
いよいよ本日4月7日に緊急事態宣言が発令される見通しとなった。予想はしていたけれども、やはり緊張はする。今すぐスーパーに行きたいけれども、どう考えても三密は避けられそうにないので、ここはひとまずコロナ関連ニュースの時系列書き出しにかかることにした。なお、細かい情報まではとても追いきれないので、ここにあげるのは、大まかなものだけである。(もし事実誤認や、間違いなどがあれば指摘していただけると幸いです) 主な参考サイト=訪日ラボ・厚生労働省公式HP 1月上旬 本邦におけるコ
今回都市封鎖のデータをまとめながら、2014年ごろに読んだ特集記事のことを思い出した。どこかの新聞のオンライン特集だったと思う。当時西アフリカで大流行していたエボラ出血熱に関するものだ。 ーーある村で、局地的に患者が激増した。調べてみると、村人たちが感染者を隠していたことが判明する。彼らは病院に隔離された病人と面会できないことから、政府や医療関係者に不信感を募らせており、家族を守ろうとしていたのだった。しかしそれが結果的に、大流行の原因になっていたのだ。政府は村に強制捜査
辞書で調べてみると、これまで都市封鎖は、戦時下で行われてきた非常手段。私自身リアルタイムで経験するのは初めてだ。しかし2014年及び2018年のアフリカでは、感染者の多いエリアを有刺鉄線で物理的に隔離するなどの、強硬というよりも非人道的な封鎖も行われていたらしいから。単に知らなかっただけなんだろうな。今日のまとめは行動制限と罰則、都市封鎖に対する反応など。明日には日本でも緊急事態宣言が発令されそうでもあるし、未来予測の材料にできるかもしれない。 3、行動制限と罰則 昨日挙
昼に上げた都市封鎖の各国比較、試しにスマホで見たら、見辛くてびっくり。いくら何でも数字が多すぎる。しかしnoteでグラフを作るのは難しいみたい。そこで、エクセルデータをスクショして貼ってみる。 本当はビジュアル的な処理をして綺麗な絵グラフにできればいいのだけれど、残念ながら才覚がなく。でも、前エントリーの数字の羅列よりはマシになったと思う。ついでに最初の感染者が確認されてから、封鎖に至るまでの日数も計算してみた。やはり突出しているのは、イタリアの50日。こんな日数で死者
1、そもそも都市封鎖とは? 最近何かと話題にのぼる都市封鎖(ロックダウン)。しかし実際何がどうなってしまうのか具体的なイメージが全くわかず、ただ「非常事態」という言葉の重みにおののいて、意味もなくスーパーに行っては冷凍餃子を買っていた。ホラ餃子って包まれているし、何となく安心感があるから……。とはいえそろそろ冷凍庫もいっぱいだし、ひとまずは落ち着かねばと思って、とりあえず言葉の定義を検索してみた。 ロックダウン(lockdown)とは、緊急時の安全確保を主な目的とした隔離・
はじめに「おかしいな」と感じたのは、1月の終わりくらいのことだ。私はある観光地の売店で販売員をしている。多くの観光業がそうであるように、中国が大型連休に入る春節は書き入れ時だ。それなのに、アジア系の客があまりにも来ない。そしてやっと来た人々もどこか慌ただしいのである。恐ろしく細かいコインを出して「明日には帰国だから」などと言う。去年まではそんなことなかった。ニュースを見ると、武漢の方で感染症が広がっているとのこと。やっぱり警戒中なのかな。今年の春節は諦めかな…。その時はまさ