Kahawa Pilipili Red
福井のコーヒー店の冬季限定スペシャルメニューです。(2014年2月訪問)
写真を撮っていると「みなさん撮られますねえ」と。
「----冬寒くなる土地柄ゆえ、暖をとる方法として試行錯誤しました。結果としてレシピはタンザニアの中深煎りを使い、抽出したコーヒーに乾燥した唐辛子を1本加えて弱火で温めます。煮立たせないように注意して唐辛子が柔らかくなったら完成です。地元産の唐辛子は、辛みに個体差があるので、味を見てお出しします。口に含むと微炭酸のようなピリピリ感が広がります。いろいろと試した末、タンザニアのさわやかな酸味と中深煎りの苦味が、最もバランスよいと思いました。飲み終わる頃には体の芯からポカポカしてきます。地元の唐辛子があと2、3本なのでそれが終わったら終了する予定です。この辺りは辛み大根を使った冷たいおろしそばを食べる習慣があります。最近ではチョコレートの味付けにも使われるので、程よくバランスがとれれば美味しいバリエーションコーヒーができるのではと思いました。意外にも女性に人気のメニューになりました----」
雪の降る中、お店を訪ねると、まずはグラスに白湯をだしてくださいました。持っているだけで手が温かくなりました。コーヒーを飲むと口の中が刺激で味覚が戻ってくる感じがしました。おかわりのバレンタイン限定ブレンドはチョコレートを食べているかのようでした。----冬はいかにもあたたかなように、炭は湯のわくように、茶は飲み加減のよいように----教えられました。感謝。
追記。穏やかなオーナーご夫婦でした。勉強熱心で壁一面に資格証明やコンクールの賞状が貼られていました。一抹焦燥感を感じました。
後にも先にも、寒い季節にあんなに美味しいコーヒーは飲んだことがありません。
流行の圧力に対して、「分かりやすさ」に惹かれ「自分が知りたい」ことに曳かれているように感じました。真冬のピリピリタンザニアは、自らを裏切らないことの大切さと、自らに誠実であることの困難さを克服した本当のスペシャルメニューだったと思います。