(BKTC-N)の 「スペシャルティコーヒー大全」を読まれた方に Tipsティップス(2) 2011.10.03
生豆のタイプ分けの考え方 生豆の色について、ティップス(1)で「大全2003」「大全2011」の照合を試みました。
「大全2011」55ページの表組では、それをSCAAグリーングレーディングクラシフィケーションポスターの最下欄グリーンコーヒーカラーグラデーションに符合させてみる試みです。
ちなみに、「講座1986」のカラー口絵を参照します。
「生豆」のページのキャプションを読むと、生産国の状況や国内に輸入された状態は現在と変化がありますが、生豆の判断規準には、ブレがないかと思います。
こうしたことは、例えば農作物を扱う人々の間では、「手(触覚)目(視覚)鼻(嗅覚)舌(味覚)」などの感覚で、明文化されないだけで、伝統的にデータが蓄積分類されてきました。アジア圏なら稲系、欧米圏なら麦系の穀物類の規準を想起すれば理解しやすいかと思います。
焙煎度合について。
「大全2011」79ページには、SCAAの焙煎度を示すカラーディスクの色のRGB表記を試みました。もちろん参考資料なので、それぞれの焙煎者がそれぞれのパソコンとプリンターで、それぞれのサンプルを試作してほしいと思います。それでも、厄介なRGBの数値入力のとりあえずの目安になります。何事も微調節が必要ですが、可能なら豆毎に微調節した配色カードを作ってもよいかもしれません。とはいえ、絶対はありえません。パソコンの調子、プリンターの調子によって作るサンプルも変化しますし、印刷した「紙」も消耗するものです。こうした「紙に印刷した」サンプルの調節と、自分が焙煎した実サンプルの照合をすると、やはりズレが生じるかもしれません。その場合はやはり味覚で確認が必要になるでしょう。常に周辺機器のメンテナンスを定期的に行ってください。焙煎する人の、自分の経験の記憶を客観視に堪える記録にする、ことの助けになれば幸いです。
「大全2003」では、ハンドピックについて多くを割きましたが、「大全2011」では当然の前提として触れませんでした。それでも、どうか忘れないでいただきたい「講座1986」以来提唱してきた、「よいコーヒー」の条件が、誰でも実際に行っていることになったでしょうか。判定は将来の成熟したお客様に委ねることにしますが、ハンドピックなどまったく必要ないというような素材にはお目にかかったことはありません。60キロの袋を2袋3袋と開けていけば、必ず混ざっているものです。それが1粒だったとしても、大切なお客様の大切な一杯を傷つけてしまうかも知れないのです。もし本当に1粒だったら、そんなに素晴らしいことはありません。ていねいな生産者に感謝すればよいと思います。
当店では、よく訪問された生産者にハンドピック作業を見てもらいますが、かれらは大概がわたしたちと近いスピードで同じ作業ができるものです。わたしたちは生産者の間に合わなかった精製の続きをしているつもりなのですが、生産者も実際の作業スピードと作業量を見て、共通に認識してくれます。と同時に、この取引先は300グラムサンプルの味だけでは満足しないのだとも認識してくれます。
ハンドピックは、生豆の組成を知るための大切なデータ収集です。
今でも現実には簡単に生産国に確認にはいけません。生豆に「見て」「触れて」「焙煎して」「飲んで」トータルにバランスよく素材を知ることが大切です。わたしたちにとって、生豆をハンドピックすることは、生産者の志や生産国の文化をよりよく理解する助けになっています。(BKTC-N)