自由研究には向かない殺人
最近はミステリと言う勿れ(漫画・ドラマ双方)のおかげで、ミステリ熱がまた帯びてきている。そういえば今週のドラマの佐々木蔵之介さんの演技は素晴らしかった。登場人物の苦悩をよく表現されていたと思う。何かと漫画との比較をされてしまうが、ドラマ版も見ごたえがあることを示していたシーンだったと思う。
前置きはこれくらいにしておいて、今日は「自由研究には向かない殺人」という本である。しばらく前に買っていたものの、読む気が起きずにしばらく塩漬けにしてしまっていたが、読み始めてみると物語に引き込まれていく。どうしてもイントロダクションのところは海外文学っぽいというか、ちょっと日本の小説とは違った雰囲気があり、その点が最初に”読む気になれなかった”原因なのかなと思った。
あらすじはざっとこんな感じなのだが、物語は主人公のレポート部分と会話とが交互に繰り返されるような感じだ。"小さな町"というのが設定の妙で、要するに関係者がこの中にいることを設定が暗に示している。だからこそ、主人公も容疑者を絞ることができたのだし、話が展開していく。設定は最初に考えるからこそ、後でどう効いてくるかわからない。その辺をプロットの時点でどこまで考えられるかが重要だなと思う。
読んでいて思うのは、主人公の破天荒っぷりだ。もちろん、それが無ければ物語は進まないのだが、とにかく危なっかしい。怪しげなパーティーに潜入してみたり、闇の商売をする人の家に押しかけていってみたり・・・。ラストのラストもだいぶ危険な目にさらされるのだが、そこは推理小説のお約束か。周りにこんな人がいたら近づいちゃダメだろうなと思いつつ、そこがフィクションの醍醐味であることを再認識させられる。
書評では「あと1000ページあってもいい」と書かれているが、これでも十分に長いので、読む際は心してかかったほうがいいと思う。とはいえ、気持ちが乗ってくると一気に読み進めてしまう良作であることは間違いない。
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