ペースの上げ下げの苦しさ
今年の箱根駅伝の1区は、超スローペースからのスタートとなった。多くの選手が難しかったと口にする展開だったが、不思議ではないだろうか。最初、遅く走っていたから、後半に力が残っているはずではないかと。どうしてそうなるのか、実際に走ってみないとわからない。
今日の練習は前半と後半で全く違うペースで行った。意図的にそうしたわけじゃなく、前半と後半で走っているメンバーが異なったからだ。
前半は6'30"/kmくらいのゆったりとしたペース。これくらいならば、週1回しか走っていないランナーであっても十分に付いてこれるし、話もできる。ある意味、コミュニケーションの場にもなっているので、この「お喋りできるペース」というのは重要だ。ストイックにやるだけがランニングではない。
5km、7kmで1人ずつ練習を終わりにしたため、後半はペースを上げることにした。しかし、ここまで6'30"/kmで走ってきたので、いきなり上げるのもちょっときつい。動きを切り替えるのに少々時間を要する。この少々時間を要することがミソだ。つまり、同じペースである程度の距離を走っていると急にペースを上げることは相当大変なのだ。ここ最近、自分一人で走るとすると、10kmくらい走ろうとする時に、大体5'00"~5'30"/kmくらいで最初の1kmを入ることが多い。6'30"/kmから切り替えよう、と思っても、まずはそれくらいのペースまでしか上がらない。
多少アップダウンもあったので、下りのところでリズムを切り替えて、4'50"/kmくらいのペースまで持っていった。これくらいのペースも最近の練習から踏まえるとそこまできついものではないが、やはり最初からこのペースで刻むよりもきつく感じる。しかし、心拍数的にはそうでもなかった。むしろ、6'30"/kmで走っている時のほうが高かったのだ。逆に心拍数が上がり切らないことできつくなっている面もある。
後半も一緒に走ったランナーは、この4'50"/kmのペースでかなりきつそうにしていた。その人のレベルならば、4'50"/kmのペース自体はそんなにきついものではない。しかし、この極端な?ビルドアップが負荷になったようだ。
1区のランナー、しかも力のある選手が後半に行ききれなかったのは、前半のゆったりとしたペースで意外と消耗してしまったのだと思う。さらに、レース用のシューズ(特にアルファフライ)はペースが遅いと跳ねてしまう(=力を上方向に使ってしまう)ので、あのスローペースは相当堪えたと考えられる。
加えて、急にペースが上がった場面もあった。確か最初の1kmは3'30"で次が2'50"近くになっていた。1kmで40秒も違ったらそれはもう大変なことだ。切り替えの練習もしているだろうが、本番のレース中にそれをやったら、物凄く力を使ってしまう。集団からこぼれるわけにはいかないので、切り替えも瞬時にならないといけない。トップランナーでも切り替えの時間を短くするのは容易でないのだろう。
話は飛ぶが、昨年12月の福岡国際マラソンで優勝した吉田祐也選手は、自身のnoteでレースまでの練習内容を細かく書いてくれている。トップランナーが何を考え、どういった意図で練習をしているのか、とても参考になる。その中で触れている「変化走」、これが福岡国際の結果に影響を及ぼしている。市民ランナーにも参考になる取り組みである。
駆け引きのあるレースが難しいことを自分なりに綴ってみた。難しいは難しいが、駆け引きの想定も含めた変化走のような練習(変化走そのものの目的は他にあるが)を意図的にすることもできるので、今後のマラソン練習の中で取り入れていきたい項目である。