うちの会社ブラックかも!!素人にもわかりやすく労働基準法の解説7−1(事業場外労働のみなし労働時間制)
舞台は営業部のデスク。AさんとBさんが資料を広げている
Bさん: Aさん、この「事業場外労働のみなし労働時間制」って、よくわかりません。営業って、外回りが多いから関係あるんですか?
Aさん: そうなんだよ、Bくん。営業はまさにこの制度に当てはまる仕事の一つなんだ。簡単に言うと、**「外で働いてる時間は、あらかじめ決めた時間働いたものとみなす」**って制度なんだ。
Bさん: え、じゃあ、実際にどれだけ働こうが関係ないってことですか?
Aさん: まあ、そうなる場合もあるんだけど、ちょっと複雑なんだ。例えば、会社が「1日のみなし労働時間は8時間」って決めてるとするよね。
Bさん: はい。
Aさん: で、実際に取引先に3時間しかいなくても、8時間働いたものとして給料がもらえる。でも、12時間ずっとお客さん回ってても、やっぱり8時間分の給料しかもらえないってことなんだ。
Bさん: えー、損じゃないですか!
Aさん: そう思うかもしれないけど、メリットもあるんだよ。
Bさん: メリット?
Aさん: 例えば、残業代計算の手間が省けるし、会社としても労働時間を把握しやすくなるんだ。
Bさん: なるほど...。でも、やっぱり損な気がするんですけど。
Aさん: まあ、確かに一概に良いとは言えないよね。だから、この制度が適用される時は、労働時間や業務内容をしっかり確認することが大事なんだ。
Bさん: わかりました! でも、なんか複雑ですね。
Aさん: そうだな。この制度は、労働時間の実態を把握するのが難しい仕事に適用されることが多いんだけど、一方で、労働者の権利が守られない可能性もあるんだ。
Bさん: 権利ですか?
Aさん: そう。例えば、長時間労働になっても、みなし労働時間内なら問題ないって考えられる場合がある。だから、何かおかしいと思ったら、上司に相談したり、労働基準監督署に相談したりすることも大事なんだ。
Aさん:事業場外労働のみなし労働時間制は、便利な面もあるけど、労働条件をよく確認することが大切なんだ。
Bさん: わかりました! ありがとうございます!
事業場外労働のみなし労働時間制を詳しく解説!
事業場外労働のみなし労働時間制とは?
事業場外労働のみなし労働時間制とは、営業や配送など、事業場外で働く従業員の労働時間を正確に把握するのが難しい場合に、あらかじめ決められた時間働いたものとみなす制度のことです。
なぜこのような制度が必要なの?
労働時間の正確な把握が難しい: 外回りの営業や配送など、事業場外で働く従業員の場合、いつどこでどのくらいの時間働いているのかを正確に把握するのが困難です。
労働時間に関するトラブル防止: 労働時間に関するトラブルを未然に防ぎ、労働者と会社の双方にとって公平な労働条件を実現するためです。
制度のメリットとデメリット
メリット
労働時間管理の簡素化: 労働時間の記録や計算の手間が省け、人事労務管理の効率化が図れます。
柔軟な働き方: 労働時間にとらわれすぎず、業務に集中できる環境が整います。
デメリット
長時間労働のリスク: みなし労働時間内に収まる限り、長時間労働でも問題ないと考えられる可能性があります。
労働者の権利侵害: 労働時間が正確に把握されないため、労働者の権利が侵害される可能性があります。
制度の適用要件
事業場外での業務: 営業、配送、訪問販売など、事業場外で業務を行う場合。
労働時間の算定が困難: 労働時間が正確に把握できない場合。
使用者の具体的な指揮監督: 会社が従業員の業務内容やスケジュールを具体的に指示している場合。
みなし労働時間の決め方
業務内容: 業務の性質や難易度によって、みなし労働時間は異なります。
通常の労働時間: 一般的な労働時間を参考に、みなし労働時間が設定されます。
労働基準監督署の指導: 労働基準監督署の指導を受けることも可能です。
制度の注意点
長時間労働の防止: みなし労働時間制だからといって、長時間労働が認められるわけではありません。
労働時間の記録: 労働時間の記録は義務ではありませんが、トラブル防止のために記録しておくことが推奨されます。
労働者の健康管理: 長時間労働による健康障害を防ぐため、適切な休憩時間や休日を確保する必要があります。
労働者側の注意点
労働契約書を確認: みなし労働時間制の内容をしっかりと確認しましょう。
労働時間と業務量のバランス: 業務量が多い場合は、会社に相談しましょう。
労働基準監督署への相談: 問題があると感じた場合は、労働基準監督署に相談しましょう。
まとめ
事業場外労働のみなし労働時間制は、労働時間管理を簡素化できる一方で、労働者の権利が侵害される可能性も孕んでいます。この制度を導入する場合は、労働者と会社がともに理解し、適切な運用を行うことが重要です。