見出し画像

見えないものが見える理由 ~特にIT~

見えたからといって、全てが存在したわけではなく
存在するからと言って、全てが見えるわけではない

誰の言葉なのかさえ分からない位に
僕の中では、普通になっている事柄です。

今はあまりなくなったのですが、特に若いころとか
「あっ! 見えた!!」
みたいなことをいうお客さんがいらっしゃるわけです。

これが言われないからいいのか?ってことに関しては
若干微妙な気もするのですが、言われる隙があると
周りの人のテンションも下がってしまうので
言われてしまうより、その場はやり過ごせる位の
パワーは持っていた方が良いでしょう。

だからと言って、見えないように
スピードとテンポアップで潜り抜けようとすると
現象さえ伝わらず、お客さんからは
拍手も起きない、という事もあり得ます。

マイナスとしては、こっちの方がマイナスかと。

アルベーカーの
「追われてないのに逃げるな」
という事ですね。

人、というものに関しての勉強を多少すると
見えた所で、それをクリアする手法はいくらでもある
というのも分かります。

1つには、どうせ記憶からすぐになくなります。
だって、その人にとってはそんな事、大事でもないので
キープされないのです。

ある種、同様な考え方で
ガンガンに別情報を与え続けるというのもまた
記憶をなくす方法かと。

そして、大事な点としては
「本当に見えたのかは分からない」
という事です。

「幽霊の 正体見たり 枯れ尾花」
という事で、相手が疑ってみているから
何らかの像を結んだ、という事は
決して多くない気がしています。

そういった事もあり、僕は見えても気にしない
という感じになっております。
経験的にホントに見えたか、見えたと感じたのかの
区別ができると思っておりますので。

上記のような事が起こるのは、相手の疑心暗鬼レベル
が高いから、というのがありますので
そこを下げられてない、という点に関しては
こちらのミスですね。

なので、僕はその点へのアプローチはしようと思いますが。

それとは逆に、目に入っているとしても
相手に認識されないモノなんてのも、結構ありまして。

ミスディレクションで気づかない、カードアンダーザグラス
みたいなものもそうですね。

あとは物理的に見えない、という所を活用するときもあります。
インビジブルスレッド(以下IT)もまさにそうですが
もちろん、そこだけに頼ると痛い目を見ることが多いです。

ミスディレクションもかけるし、ライトのリフレクションも
考えたうえで、その物理特性を使うのがITの基本です。

タダですね、そのように扱ったとしても
気づかれる瞬間があるんです。
これは、目には見えないけど、相手に感じ取られてしまう
という状態です。

じゃあ、ITでどういった瞬間に気づかれてしまう
感じ取られてしまうのか?と言ったら
「対象物と手などの動きがシンクロする場合」
です。

ITおよびITRに慣れてない人が扱うと
どうしてもこれが起こります。
手の動きと物の動きが一致するのです。

例えば、タイミングやベクトルの方向など
直線的につながる感じで同時に動くのです。

頭の中で補助線を描く感じなんでしょうかね?
そのような事が起こると、何らかつながっている感が
強くなるわけです。

手から手に指輪が移動、なんて時に指輪が直線的に動くと
指輪と移動方向の前後に補助線が伸ばされて
そこに意味のない手があったりすると、気づかれるって感じでしょうか。

そして残念ながら、それが正解ってことになってしまうのですが。

これ、スレッドの初期のころはある程度しょうがないと
思うのですが、慣れてきたら意識的に
諸々タイミングをずらしていく感じにした方が
いいですし、上手い人は体と対象物の動きが
シンクロしてないんです。
(正確には、それが気づかれないようにしている感じ)

簡単にこれを潜り抜けるのが、ループスのような
エラスティックですね。
伸縮性によって、タイミングがずれてきます。

僕のシステムの場合、シンクロして動く部分があるのですが
相手の視界の中に入りにくい動きになっています。
手は自由になっているし、体の向きもある程度自由だし
しゃべっていても大丈夫だし。

そういった自由度や体の緊張感のなさゆえに
観客が捕まえようとする、仕掛けのしっぽのようなモノが
つかめなくなっているわけです。

IT系のトリックだと、自分は現象が起こっている所を
見ているので、その周辺視野が狭まってしまうんです。
なので、意味のない所(のはずの)手に緊張がはしっていたり。
観客も同じだけ狭まっていればいいのですが
そうも上手くいかないことも多いですので。

そういった事がなかなか言語化されてない分野のような
気がしますので、見えないものが見えてしまう
それは自分がしっぽをつかませてしまっていることもある
というのも注意してみて下さい。

ああ、ちなみにですが、ITを使ったとして
直線運動は比較的簡単に想像できると思います。
でも、回転運動はなかなかその手法が分からないわけです。

小林の手順の中では、スプレッドの状態からカードが回転して
動き出すという所があります。瞬発的にその動きを生み出す
方法が分からないと思うんです。

物理的にも見えないし、想像すると頭もビジーになるし
現象を見ること以外に、なかなか頭のメモリーを使う余裕は
無くなってくると思うんです。

そういった事まで考えて、手順化したり現象の順番を考えたり
それがマジシャンの仕事だと思っておりますので。

さてさて、見えないはずのITが見える瞬間
本当に見えているわけではなく、何かがつながっているように見える
段階で、ある意味失敗なわけです。

相手の「見えた」という言葉の意味を冷静に判断できないと
IT系のトリックはなかなか上手くなれませんので
周辺視野も強くなってください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?