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落語とマジック ~そのファンの差分~

いろんな場所でのマジックの会に行きますと、その会場での
他のイベント事のチラシとかって、入り口の所にあったりします。
特に公共の施設の場合には、歌や音楽、お芝居など色々とあって
「ああ、こういった物を作ってきちんとコマーシャルしないといけないよね・・」
なんて思いつつも、まあやっている人は少ないなあ、なんて。

で、そういったチラシを見てみると
意外に多いのが、落語の会ですね。
大抵は聞いたことのない方が多いわけです。
2つ目さんとかが多いのが理由かもしれません。
まあ、僕らが知っている落語家さんなんて、笑点に出ている方
位しか知らないですよね?

講談師なんて、神田伯山くらいしか知らないじゃないですか?

でも、実際には山ほどいらっしゃって、そういった会場で
きちんと独演会や一門会などが行われるわけです。

もちろん若手の会などが、経験値をつむために
なんて感じで行っているものも多いと思います。
今は無いのかな?落語・講談師の集まりであった成金とか。

フォーサイト代表の庄司さんは、寄席の舞台にも出ていて
噺家さんの世界もよくご存じの方。
で、そういったチラシを見つつ、僕が
「噺家さんって、いろんなことやっているんですね」
などと。

チラシを見てみると、毎月人が違ってやっている会などで
「マジシャンでこういった公演を定期的にうっている人はほとんどいないですが、噺家さんはいろんな所でやってるんですね」
なんて。

自主公演というよりも、要は席亭のような方がいて
場所を提供しているという感じのことが多いみたいな印象です。

まだいったことが無いので、そういった場に行ってみたいと思いますし
パフォーマーの動きだけではなく、運営側の動きも見てみたい
なんて思います。

で、マジシャンとして面白いと思うことは、これら芸能のお客さんです。

噺家さんのお客さんの中で、高座に上がってこようとする方は
かなり少ないと思います。
簡単に言えば、立川流の落語を見たからと言って、立川流に弟子入りするとか、自分も話せるようになりたい!って人はあまり見かけない気がします。

でも、マジシャンのお客さんって、自分も手品を覚えて
演じる側に回って、さらに同じ舞台で演じる方の方が多い気がします。

どちらがいい・悪いという事ではなく
だいぶ違うんだなあ、と。

この差が何を生み出すのかって事ですが、演者とお客さんの関係性とか
距離感ですよね。

噺家さんとの関係はファンであることを超えられないわけです。
若い噺家さんに対して、何か説教みたいなことをする
落語ファン歴の長い方もいると思いますが
どこまで行っても
「無関係な、落語好きな、素人の、かた」
程度であり、指導?できる人って、その道の師匠格の人しか
出来ないし、まあ受け入れないことが多いと思うんですよね。

その場では、聞いていても
プロとしてやっている人とそうじゃない人は見えているものが違うし
戦い方は真剣と竹刀の違い位ありますよね。

じゃあ、どうすれば、マウント取れる?(笑)
簡単です、お金を払うんです。
分かりやすく言えば、仕事を紹介したり、噺家さんなら
高座をもうけるわけです。

こういった立場になれば、まあ大事なお客さんになって
多少は聞く耳を持つようになるわけです(笑)。
で、これの金額が大きくなると、お旦那さんになるわけです(笑)。
英語で言えばパトロンってことですね。

噺家さんの世界では、そういったことが多いようで
打ち上げとかにも来るような、そういった身近なファンの方は
大抵お仕事の紹介などをしているようで。

まあ、当たり前っちゃ当たり前なのかもですね。
だって、仕事として噺家をやっているわけで
大事なのは「お得意様(仕事の関係の相手)」にはなりますよ。

じゃあ、仕事の紹介などをしないで、近くにいるファンの人って
どうなっていくのですか?と庄司さんに聞いたことがあって
「まあ、疎遠になっていくよね」みたいな感じに。

その人の落語を聞きたいから、その場を作っていく
というのが、噺家さんのスタンダードなのかな?と感じてます。

マジシャンの界隈だと
その人のマジックを見たい、というよりも
その人のマジックを自分も演じられるようになりたい
って思う人が多い気がします。

まあ、僕もそのうちの一人なので
申し訳ないのですが。

なので、プロマジシャンのまわりにいる人たちで
そのプロマジシャンの演技が見たいから
「今度ここでイベントしましょう!」
みたいなことを言ってくる人は少ないですよね。

でも、そうやって、ある意味でお金を生み出せる
間柄になっていけば、実際にはとても仲のいい状態で
いられるわけです。

以前の記事で、僕は海外のマジシャンとある種の友人に
なりたいと書きましたが、友人でないと
上記のような関係を作り出しておく必要があり
そのためには、様々な人とのコネクションが必要になり
僕は非常に不得意なので、直接的に何かプラスにしてあげるか
そういった損得ではない人間関係にしないと・・なんて思うわけです。

さてさて、逆を返すと、マジシャンと仲良くなるのは簡単で
ちょっとしたイベントでも開催して、その人を
ゲストで呼べばいいんですよ。

そうすれば、見たいトリックをリクエストすることも可能ですし
そんな人と知り合いであることで、周りから尊敬の目で
見てもらうことも可能になるかと。

もちろん、マジックファンになって、マジックをやる方へ
移動するのも楽しいと思います。
ただ、マジックは簡単にできてしまうだけに、お仕事で演じている方に
迷惑をかけてしまわないように、注意はしないとですね。

コレ、サークルとかではなく、一人でマジックを楽しんでいる人に
多いことになるのですが。

噺家のファンで、1席話せたとしても、なかなかバーで隣の人相手に
「芝濱」を話す人はいないですよね(笑)。
でも、マジックはすぐにできちゃうので、やっちゃう人がいるんですよね。

で、特に、マジシャンの出ているお店(バーにせよレストランにせよ)に
遊びに来るマジックファンの方で一人で楽しんでいる方って
演じる場がないのか、周りの人に演じたがる人も、それなりに多いですね。

それって「人の仕事場を荒らしている」ってことを感じないんでしょうね。
例えば、プロの歌手が歌った後に
「俺も歌いたい!」って
舞台に上がってくる人っています?
マジックでは、それをやる人がいるんですよね・・・。

いやあ、マジックファンにはダイナミックな方が多い(笑)。

だったら、席亭になればいいのにって
思うんですけどね。
そうすれば、好きなマジシャンの好きなマジックを
間近で見ることもできるでしょう。
同じ舞台に立ってマジックしたって
その場のマスターはその方なのだから、その程度の自由は
まあ持っていると考えていいでしょうし。

お金を頂く人がいる場で、趣味の人が勝手に同じことしちゃ
ダメですよね、最低でも許可を取らないと。
一人で楽しんでいる方は、そういったことを学ぶタイミングも
無いのでしょうが・・

芸能の差からの、ファンのふるまいの差を
ちょっと考えてみました。
ま、僕自身は色々と困ったことはないのですが
それはファンもいないからで(笑)。
多少はファンの方ができるように、そしてそういった人たちが
お越しいただけるような場で演技ができるように
来年は頑張りたいと思います。

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