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移住前に東京でやるべきこと。

経済的独立まであと少し。

 昨今の円高の後押しもあってか、外貨建て資産の増加が著しく、税金を考慮しなかった場合に得られるインカムで最低限の生活費を賄えるだけの資産規模となってきた。今のペースで蓄財と運用が進んだ場合、1年後には税引き後の資産所得で生活費用が賄える状態となる。予想通りに進まなくとも、地方に移住して生活コストを削減してしまえば、すでに金融資産で食べていけるだけの、理論上はあがりの状態となっており、いよいよ移住が現実味を帯びてきた。

 なんだかんだ高校時代から過ごしてきた東京での生活もあと1年程と考えると、地の利を活かして東京に在住しているうちに、やっておくべきことは何かないだろうかと、最近になって考えるようになってきた。

近くのものほど有り難みが分からない。

 考えてみれば、近場だからと先送りしていた行ってみたい場所や施設が軽く10ヶ所は出てくる。特に岡本太郎さんのアトリエは青山にあるにも関わらず、1度も立ち寄ったことがなく、反対に大阪へ行った際に完全予約制である太陽の塔の内部見学をしているのだから、その気になればいつでも行ける状態だといつまでも行かないものだとつくづく思う。きっと親孝行なども似たような感覚なのだろう。

 地方民と違って東京への憧れが微塵にもなかったのも、隣接県で育ち、その気になればいつでも東京に出られる環境であった部分が大きく影響しているのだと今では感じる。

東京ならではの経験、体験を求めて。

 今は疫病でなかなか難しい側面もあるが、地の利を生かして1度ぐらいは人生経験としてライブなどのイベントに参加してみようと思って、先日、学生時代に好きだった音楽ユニットのライブチケットを購入した。

 移住先が札幌や仙台、福岡辺りであればイベントの機会が巡ってくることもあったりするが、それ以外の地方となると、なかなかに厳しかったりするのが現実である。

 鉄道員という職業に就いておきながら、人混みが好きではないのはミステイク感が強いが、その影響もあってライブなどのイベントには対して興味が湧かないから、実際に経験してみてこんなものかと思うのは目に見えているが、やらない後悔が後を引くよりは、せいぜい1万円前後で経験して現実を知った方が遥かにマシである。

 もっとも、首都圏のライブイベントなどは物にもよるがチケットの争奪戦もザラで、東京に住んでいるにも関わらずチケットが取れず、仕方なく地方の講演に出向くと言う逆転現象が起こることも珍しくないらしい。全国を巡回したい熱烈なファンであれば地方巡りも勝手だが、仕方なく地方に出向くなら何のためにわざわざ生活コストの高い東京に住んでいるのかと個人的には思ってしまう。

 思い返せば、過去に私の好きなエヴァンゲリオンの公式トークショーが渋谷で行われたり、シン・エヴァンゲリオン劇場版に出てくる第3村のミニチュアが有明で展示されたり、庵野秀明展も乃木坂にある国立新美術館で展示されるなど、気軽に立ち寄れる環境が幸いして頃合いを見て平日に寄ることができたし、その時だけは山手線の駅が徒歩圏内の場所に住んでいて良かったと感じた。

 しかし、私が思春期に大きな影響を受けたサブカルチャーは、残念ながら徐々にオワコン化していることもあり、今後私が望むようなイベントが東京で開催される可能性は限りなく低いので、地方に移住して後悔する可能性は限りなくゼロに近いし、仮にイベントが発生するのであれば、LCCが充実している昨今、その気になれば都度東京に出向けば良いだけの話で、やはりわざわざ家賃の高い東京に居住する価値が見出せないでいる。

人は終わりを意識すると本気になる。

 発作で倒れた時に死を覚悟したことで、自分に正直に生きていない現状と、自分がどうありたいかのギャップを確認することができたのは以前にも記した。そんな大ごとでなくとも、転居、転校、転勤、転職、転生などの環境変化によって終わりを意識することにより、惰性で過ごしていた毎日が、何故か見違えるように変化し、充実してしまうような気がするのは何とも不思議である。

 疫病と言う外出が躊躇われる環境変化こそあったものの、私が都内で以前から行ってみたかった場所や施設自体がより魅力的になったわけではない。むしろ何も変わっていない。それなのに、なぜ積極的に行動に移そうと思うようになったのかと言えば、自身の価値観が変わったからである。

 東京で最後の春夏秋冬だとしたら何をしたいか。そう考えるだけで、今まで騒々しい街で、遊ぶ場所ではあっても住む場所ではないと酷評していた東京の良さを見直す良い機会になっている。

 心理学で言うところのカラーバス効果に通じる部分で、人は見たものをそのまま見ているわけではなく、見たいものを見ていることを痛感する。

 これをマクロな視点で考えれば、10代、20代、30代…で何をやりたいのか。と100年時代の人生を10年単位で刻み、都度終わりを意識することで大きな成果を挙げられるようになるかも知れない。

 ジョブズさんのように、毎日が人生最後の日だと思いながら生活することは中々難しいものの、人生を充実させるスパイスとなるのは間違いないと思う。最後の1年かも知れないからこそ、365分の1を大切にする姿勢を忘れず、移住に向けて行動し、新年度を迎えたい。


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