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バースデーサービスという名の2月生まれ冷遇制度。


2月生まれと他の誕生月では、その日数に有意差がある。

 大人になると誕生日に祝ってもらえる機会もないが、世間では誕生日だけ厚遇してくれるサービスが、マーケティングの一環で設けられていたりする。東京ジョイポリスの誕生日無料特典なんかは典型例だろう。

 誕生日であれば、2/29生まれの例外はあるものの、基本的には等しく1年に1回訪れるため、不公平感はない。

 しかし多くの場合、誕生”日”に限定してしまうと、ターゲット層が著しく絞られてしまうことや、誕生日が土日に当たる人と、平日の人との間でも不公平感が生まれてしまうことを考慮してか、誕生”月”に厚遇するマーケティングが蔓延っている。

 それにより、相対的な「2月生まれ冷遇」になっていないかと、2月生まれとして薄々感じていることを言語化すべく、この記事を記す。なお、同じ2月生まれとして非常に心苦しいが、計算を単純化するために、閏年は考慮しないものとする。

 1年間は365日で、12の月が存在する。つまり、365/12=30.416…で、1ヶ月の期待値は30.42日となる。

 2月生まれは28日。4、6、9、11月生まれは30日。1、3、5、7、8、10、12月生まれは31日で、1ヶ月が構成されているため、実数を期待値で割って1を引けば期待値から何%の差があるか明確になる。

2月:28/30.42-1=▲7.95%
4、6、9、11月:30/30.42-1=▲1.37%
1、3、5、7、8、10、12月:31/30.42-1=1.92%

 にわか仕込みの統計学的な仮説検定をするならば、「2月生まれと、他の誕生月との期間に差はない」と帰無仮説を立てる。甘めの5%有意水準で設定すると、7.95%の差があるため、帰無仮説は棄却される。よって、2月生まれと他の誕生月では、その日数に有意差があると捉えられる。

 つまり、誕生月だけ厚遇するサービスは、2月生まれだけ1ヶ月の期間が期待値から7.95%短く、これは他の誕生月と比べて、誤差とは言い難い有意差が出ている訳で、処遇に差があるのは紛れもない事実である。

先天的な特性に応じて、処遇を変えるのは差別に当たる?

 無論、企業が好意で誕生月サービスを設けているため、2月生まれが束になって騒ぎでも起こそうものなら、そもそもオペレーションが複雑になるだけの顧客優位なバースデーサービスが廃止されて、全員等しく不幸になるのがオチなので、2月生まれの宿命として、この不遇さを受け入れて、黙っているのが処世術ではある。

 だからと言って、誕生月に買い物するとポイント還元とか、誕生月だけ使えるクーポンの類は、2月生まれだけ日数にして2〜3日、割合にして約8%短いのは、当事者としてあまり気分の良いものではないため、こうして文句を垂れ流している。

 とはいえ、一介の消費者としては、バースデーサービスの類を実施している民間企業を、選ばなければ良いだけの話ではある。

 レディースデーなどにも同じことが言えるが、一般論で、本人の努力ではいかようにも変え難い先天的な特性に応じて、処遇を変えるのは「差別」と何が違うのだろうかと思う節がある。

 そのため、そもそも特定の条件に応じた特別扱いなどせず、誰にでも平等な取引をしている商売相手の方が、不公平感がないため支持したくなる傾向はある。考えなしに特別感を出そうとすると、その歪みで抜け漏れた人たちから、何も言わず去っていくのが世の常だろう。

 サービス設計をする人は、不公平感が出ないか広い視野を持ち、よく考えた上で設計して頂けると、今よりも生きやすい世の中に一役買うかも知れない。

多数派と違う環境が、独創性の源泉。

 それでもネタにしている時点で、恨むほど根に持っている訳ではない。当事者としては、いくら誕生月を恨んだり、悔やんだところで、それが変えられる性質のものではないからだ。

 世の中から冷遇されている現状をサンクコストとして割り切り、自分の捉え方を変えてしまった方が手っ取り早いと考えるのが賢しい選択の筈で、真っ当な思考回路を有しているなら、世界を変えてやろうなどとは微塵にも思わない。

 そもそも2月生まれでなければ、他の月と明らかに差があるみたいな着眼点は持たないだろうし、多数派とは違う環境で育っている経験全てが、独創性の源泉にもなるだろう。立ち位置としては、早生まれあるあるを、もう少しニッチにした域を出ない。

 教育心理学の世界でも、早生まれは幼少期にハンディキャップから成功経験が得られないことが多く、自己効力感の低さからマタイ効果が働き、学業成績や最終学歴にも有意差が現れることが、研究により明らかになっている。

 いわゆるスポーツマンタイプが4〜6月に偏ると言われているのも、幼少期の成功経験の差から来る訳で、子どもに対して良い成績や、高い運動能力を望むなら、遅生まれになるよう逆算して家族計画を立てるべきだろう。

 私は現時点で子どもを持つ気はないが、何かの間違いで子どもを持つことがあるならば、遅生まれになるよう逆算するだろう。早生まれで同じ思いをして欲しくない気持ちもさることながら、バースデーサービスは2月生まれ冷遇制度だ!などと斜に構えた、いかにも面倒臭そうな奴が量産されたら、ひとたまりもないからだ。


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