隠れお金持ち特有、対人関係のもどかしさ
恋愛市場で財力を武器にできない
出オチ感が半端ないが、「プロポーズに失敗した。お金じゃなかった。」の下に、8,000万円超の資産総額が表示されているマネーフォワードのスクショが貼り付けられており、お金目当ての異性を寄せ付けたくないがために、お金を持ってなさそうに振る舞った結果、恋愛が成就せず、逃した魚は大きい的なことを示唆するネタのように捉えられる。
しかし、これは案外核心を付いており、普段から金融商品の売買で市場原理に晒されているだけのことはあって、恋愛市場において自分自身を客観的に評価した際に、唯一と言っても良い取り柄が財力なのは自覚している。
しかし、打算的な人間を排除したいがために、唯一の武器を使わなければ不利に働くのは目に見えており、超強力なカードを切らずに他者を惹きつける無理ゲーに、もどかしさを感じる局面が、日頃、弱者男性ブランドを纏っている私ですらあった。
20代という若さもあってか、会計時に株主優待券を出すなど、ヒントを鏤めても、少しでも出費を抑えるために、事前に計画して金券ショップで購入した、ケチくさい奴だと思われるだけで、ガチ株主である可能性まで、相手の発想が至った試しがない辺りに、これまで金融教育を行なって来なかった功罪を色々と察する。
その癖、図々しい相手ほど”貯金”はしているか聞いてくる。”貯金”と言われたら、郵便か農協か漁協のソレに限定される以上、正直に「貯金”は”全然していない」以外に答えようがないではないか。(無論、”預金”しているかと問われたところで、銀行預金は100万円に満たないと答えるがww)
こうした金銭感覚以前に、金融リテラシーがズレていると、自身と同世代で、同じ位の資産を持つ異性とか居ねぇかなぁと思うものの、統計上、100人に1人も居ない超レアキャラの中から、更に絞り込みの条件で性別を加えたら、目眩がするような確率なのは想像に難くない。
アンパンマンが「愛と勇気だけが友達」だとすれば、隠れお金持ちは「金と孤独だけが友達」という、基本的に周囲から理解されない孤独な生き物とも言える。(無論、アンパンマンの生みの親であるやなせたかし先生が、戦前生まれで、友人を巻き込まずにひとりで戦うには、愛と勇気だけが友達という意図で作詞した背景を理解した上でオマージュしている。)
そう考えると、しばしばお金持ちがパートナーに選ぶ人の特徴として、同じお金持ちの人か、お金持ちになる前から付き合いがあった人が挙げられるが、お金目当てで近づいて来ていないことを確信するには、この2つが妥当な判断材料となるからに他ならず、それを満たせなかった多くの隠れお金持ちは、成金アピールをして浅い人間関係を構築するくらいなら、孤独を選ぶのだろう。
お金絡みの相談相手が居ない
そんな孤高の存在である隠れお金持ちタイプは、自分が価値を感じるもの以外の出費を嫌い、基本的には収入よりも遥かに少ない支出で質素倹約に、淡々と暮らしたことで捻出した種銭を、適切に運用して時間をかけてお金持ちとなった堅実派が多い。
その多くが、日頃はパンピーに擬装して、至って人並みの生活を営んでいる。それ故に隠れお金持ちとして、誰にも金の匂いを嗅ぎつけられることなく、割合平穏に暮らしているわけだが、保有する資産規模がパンピーの中央値とはかけ離れているが故に、それをいかにして保全・運用すべきか悩むこともある。
しかし、これを相談する相手が、日常生活で接する周囲の人には居ない問題に直面して、初めて孤独であることを実感する。
日頃から、出費は適切か否かをシビアに精査して、無駄金を抑制しては、捻出した種銭をいかに効率よく運用するか、経験を交えながらお金について学び続けた結果、その習慣のない周囲よりも、お金に関して詳しくなってしまうのは必然であり、そんじょそこらの金融機関に所属するような営業マンの、セールストークに引っ掛かるほど軟じゃない。
それにより、これまでの人生で長い時間、身を置いていたであろうマス層で築いた人間関係の中で、自分以上にお金を上手く扱える人が居ない=お金絡みの相談相手が居ない状況に直面するわけだ。
だからこそ、相談相手を間違えると、いわゆるお金持ち特有の悩み=贅沢な悩みと受け取られ、ルサンチマンの元凶となり、これまでの人間関係に亀裂が生じかねないのは火を見るよりも明らかであり、かと言って玉石混交なネット上で不特定多数に発信するのも、ピラニアのいる川に飛び込むようなものだ。
そのリスクを取るくらいなら、ひとりで抱え込んだ方が良いと、誰にも資産に関する情報を共有せず最期を迎えた結果、本人の死後に莫大な遺産が発覚して、争続となるのがテンプレ的、隠れお金持ち像のような気がしてならない。
とはいえ、いじけて殻に籠っているだけで、これらの悩みが解決したら苦労しないため、同級生をはじめとする、蓄財が捗る前から付き合いのある人脈をできる限り保持し、ライフハックレベルの税金や社会保険料、株主優待の話題を出した時に、どれほどの解像度で話が出来るかで、相手の金融リテラシーを推し量り、理解ある人と気兼ねなくお金の話が出来るようになる辺りが、20代で老後資金を貯めてしまった私が辿り着いた落とし所ではある。
根本的な解決には至らなくとも、お金があることで却って生じる漠然とした不安を言葉に出して、それを聞いてくれる相手が居るだけでも、お金の話題を口に出せないもどかしさが無い分、心が軽くなる側面がある。
そのため、所属する各コミュニティ内で、相手を見誤らなければ一人だけなら(話が漏れた際に、確実に首根っこを掴むため)、リスクを取って保有資産をカミングアウトしても相応のメリットがある。
無論、その同級生とは卒業してから最もサシで飲み食いする関係となっているが、会計の時はいつも、割り勘で良いか?ウルトラサラリーマンで済ませている。
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