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支出をコンパクトに。
資産形成の方程式をご存知だろうか?非常にシンプルで驚くと思う。
(収入-支出)+(純資産×運用利回り)
コントロール可能な要素は支出だけ。
方程式の要素は収入、支出、純資産、運用利回りのたった4つ。
一般的なサラリーマンの場合、収入が翌年に倍増なんてしないので、おおよその数字は決まっている。
支出は人によるが、パーキンソンの法則というのがある。これは第二法則に「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」と記されており、多くの人は収入が上がると生活レベルを上げてしまうことを如実に表している。
これは、収入が増えたからといって、何か一つ出費を増やすと、なぜだか、合わせて全体の出費も増加してしまうことを意味する。そうなると、昔よりも収入は増えている筈なのに、今の収入がちょっとでも減ると不安になってしまう。
幸せになるために生活レベルを向上した筈なのに、不安を抱えてしまっては本末転倒。
しかも、一度上げた生活レベルを下げるのは至難の技だ。なぜなら、過去の栄光が邪魔して惨めな気持ちを味わうことになるからだ。それなら社会人1年目の生活レベルのまま上げなければ良い。周りは笑うかもしれないが、お金に関する不安を抱くより遥かにマシだ。
純資産は、簿記の表現になるが、持っている資産から負債を引いた金額だ。例えば所持する金融資産、持ち家、車の時価総額が合わせて3,500万円だとしても、ローンが3,300万円あれば、純資産は200万円と言った具合。
社会人1年目の場合、純資産は基本的にゼロスタートか、返済が必要な奨学金を借りているとマイナススタートの可能性もある。実家が金持ちとか、遺産相続などの要素がなければ、若いうちに多額の純資産を持っているのはレアケースだ。
最後に運用利回り。投資初心者ほど利回りを増やそうとするけど、リスクとリターンは表裏一体であることをお忘れなく。米国の株価指数であるS&P500は、過去30年間の平均利回りは7%前後で、投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェットでさえ20%程度だ。
つまり、20%超えの運用利回りを提示する投資案件は、全部詐欺だと思って問題ない。
そして、4要素の本質を理解していると、結婚相手を探す時にありがちな、年収や貯蓄額を重視することがいかにナンセンスなことかが分かる。
高収入でも浪費家だったら意味がないし、預金があるだけではいつか取り崩してなくなるからだ。私なら、収入の何割を貯蓄に充てられると言った貯蓄率を重視したい。収入よりも遥かに低い支出で暮らせる人が破産することなんて滅多にないからだ。
費用の削減はやれば誰でも実現できるし、収入や利回りを増やすのと違って特別なスキルも必要ない。
生活費用を出来る限り削減することが、資産形成への近道。
少なくとも私はこれで蓄財してきた。多くの人が変動費を下げようと必死になるが、まずは固定費の削減が労力対効果が高いのでお勧めだ。
電気ガスは自由化で会社を乗り換える
料金プランを比較できる「エネチェンジ」などのサイトで、自分に合う会社を選ぶと良い。
特に電気料金は毎月の基本料金が掛からないプランもあるから、電力会社を変えるだけで使い勝手は変わらないのに毎月1,000円程度安くなることもある。
ガス料金は乗り換えも大事だけど、そもそも物件を選ぶ際に都市ガスの物件を選択すると良い。プロパンガス物件は賃料が安くても、それ以上にガス料金が高くつくからおすすめしない。
保険は火災と自動車以外必要ない。
火災保険と自動車保険以外は、基本的に解約してしまった方が蓄財には有利だ。保険に関して記すと長くなるため、詳細は後々まとめようと思う。
携帯電話は柔軟に乗り換える。
2020年以降、大手キャリアが格安なオンライン専用プランを打ち出したことで、使い勝手を変えずに月3,000円程度の支払いに抑えられるから使わない手はない。
私は楽天モバイルを契約している。当初から楽天回線のエリア内に居住しているので、データ通信が無制限で一年無料なのが決め手になった。携帯電話のインターネット共有機能でルーター代わりに使用できるので、固定回線の契約も必要なくなり解約できた。
通信速度や品質が3キャリアと比べるとイマイチな時はあるけど、月3,000円程度で通話も高速データ通信も無制限に利用できる時代が来るとは思わなかった。
携帯料金は流行り廃りの変化がはやい。
そのため、いつまでも楽天モバイルが最良とは限らない。その時々でベストな料金プランに乗り換える感覚でアンテナを張ると良いだろう。
最も一番減らし甲斐のある家賃。
東京ならちょっとした工夫で賃料が月1万円以上安い物件に巡り会えるかも知れない。
例えば、「東京銭湯ふ動産」と言うサイトは、銭湯の近くにある風呂なし物件を紹介している。今どきお風呂が付いていない物件の生活なんて想像出来ない思うだろうけど、高度経済成長期よりも前の時代は、家庭にお風呂が無いのが普通だったから、当たり前のように銭湯に通っていたらしい。
今では銭湯が減ってきているから、風呂なし物件は不人気で、その分家賃も破格だ。東京の公衆浴場には共通入浴券があって、10枚セットで4,400円で売っている。月30回利用しても銭湯代は13,200円だから、風呂なし物件の家賃がそれ以上に安ければ、固定費が下げられるわけだ。お風呂が使えれば良いわけだから、銭湯に限らずスポーツジムやネットカフェのシャワーなんかでも構わない。
私は鉄道員と言う職業柄、職場の大浴場がいつでも利用できる役得がある。休みの日だけ銭湯に通えれば、家にお風呂がなくても問題なかったから、思い切って風呂なし物件に転居してみた。
銭湯は定休日があるから、曜日によって使い分ける必要があるのと、15時過ぎないと空いてない所が多いと言うデメリットはあるけど、赤の他人と入浴するのが気にならない方なら、湯船も広くてお勧めだ。
副産物的にお湯張りや掃除の手間が無くなる。物件に給湯器がない場合、コンロ程度しかガスの使い道はないから、IHで代用することでガス会社との契約も必要なくなった。
肝心の家賃は月2万円程削減できた。転居前から相場より2万円ほど安いバランス釜の物件で、そこからさらに削減した今は、23区の単身者向け物件の家賃相場よりも4万円程度安い賃料で生活出来ている。
23区在住20代の平均的な一人暮らしよりも4万円安い賃料で生活しているからこそ、平均的な年収でも楽天証券で毎月5万円も投資信託を積立できる余裕があるわけだ。
支出の削減に税金はかからない。
最後は当たり前の話になるが、固定費などの見直しで月1万円の費用削減ができた場合、可処分所得が1万円丸々増えるが、所得を増やす場合は所得税や住民税がかかるため、可処分所得は少なくなる。
仮に株式投資で収入を増やそうとすると、利益に対して約2割の税金が徴収される。税引後の配当金で月1万円得ようとすると、税引前配当利回り4%の金融資産で約377万円も必要だから、月1万円の費用削減は377万円の金融資産を保有するのに相当するわけだ。どちらが簡単なのかは言うまでもない。
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